肌の保湿の新たな扉を開く!水分状態を探る最新技術とは
肌に必要不可欠な水分。その状態を的確に評価する新技術が、第一三共ヘルスケアと御木本製薬の共同研究を通じて発表されました。この革新的な研究は、フランスのカンヌで開催された第35回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)世界大会において注目を浴びました。
新たな水分測定法の確立
水は健やかな肌を保つための重要な要素ですが、これまでの保湿研究は主に「結合水」に焦点を当ててきました。結合水は、肌の角層に存在する天然保湿因子と結びついており、乾燥環境でも揮発しにくい特性を持っています。しかし、その中にはさまざまな結合状態があり、従来の測定方法ではその詳細を把握することが難しいのが現実でした。
そこで、今回の研究では「中間水」や「弱い結合水」に着眼し、これらを明確に特定・評価する新手法を確立しました。この手法により、肌の水分状態をより深く理解することができ、保湿効果において重要な役割を果たす成分の探索にもつながるのです。
主な成果
本研究での主な成果は、以下の二つの新しい評価法によるものです。
1.
超低温DSC法
従来のDSC法を改良したこの手法は、-150℃まで化粧品成分を冷却することで、以前は「結合水」と「自由水」の二つに分類されていた水分を「不凍結水」「中間水」「自由水」の三つに明確に分けて定量的に評価できるようになりました。テストの結果、トレハロースとPCA-Naは、それぞれグリセリンの1.5倍および2倍の中間水を保持することが証明されました。
2.
ラマン分光法
水の結合状態を評価するためにラマン分光法を用いたこの方法は、結合力の強さに応じて「非常に強い結合水」から「自由水」までの五つの状態に分類されます。このアプローチを用いることで、化粧品原料の評価精度が大幅に向上しました。
水分状態がもたらす新しい可能性
特に注目すべきは、「弱い結合水」の重要性です。若年層の角層には「強い結合水」と「弱い結合水」の比率が高いことが知られています。今回の研究では、PCA-Naとトレハロースを用いた製剤を塗布することによって、実際にこれらの水分状態の比率が改善されることが確認されました。
このように、新たに得られた知見によって「中間水」や「弱い結合水」の存在が強調され、今後のスキンケア製品開発における革新が期待されます。
未来のスキンケアの展望
この研究によって確立された新たな水分評価法は、従来の保湿に関する理解を深め、今後の製品開発において新しいアプローチを提供します。肌に必要な水分状態をより正確に分析することで、より効果的なスキンケア製品の開発が進むことでしょう。
第一三共ヘルスケアと御木本製薬は、今後もこの分野での研究を進化させ、より高い保湿効果を実現する製品の展開を目指します。私たちの肌を守るための新しい水分測定の手法によって、より効果的なスキンケアが実現できる日も近いかもしれません。