麩柳商店が描く「未来の食文化」とは
名古屋に根ざした創業148年の老舗、有限会社麩柳商店が、サスティーンナゴヤのプログラムに参加し、伝統的な生麩の魅力を新たに発信しています。今回の取り組みのテーマは「伝統と革新」。生麩がどのように未来の食文化へとつながるのか、その内容に迫ります。
サスティーンナゴヤへの参加背景
サスティーンナゴヤとは、名古屋市内外の事業者が持続可能な経営と社会的価値のあるデザインを学ぶプロジェクトです。株式会社麩柳商店は、2024年から2025年の期間に渡り、計8回の打ち合わせを経て、以下の課題に取り組みました。
- - 若年層における生麩の認知度の低さ
- - 伝統や歴史が伝わりにくい旧来のパッケージデザイン
- - 卸売からBtoCへの転換が求められている
このような背景から、同社は経営戦略とデザインを結びつけるプログラムへの参加を決意しました。
生麩の新しい可能性
日本の伝統食材である生麩は、低脂肪・高たんぱくという健康志向のニーズに応える魅力を持っているものの、「特別な料理専用」という先入観があったため、家庭での利用機会が減少していました。今回の取り組みでは、消費者により身近に感じてもらえる形に進化させることをテーマにしています。
具体的には、生麩を日本人に馴染みのある「みたらし風」にアレンジし、自家製の特製だれを使用した商品開発や、SNS映えするデザインを意識したカップタイプの提供を行います。これにより、若者層をターゲットにして手に取りやすくしています。
デザインの刷新
麩柳商店が行ったデザイン改革は、パッケージやラベルにおいても顕著です。例えば、麩まんじゅうのラベルでは、商品の特徴や素材を分かりやすく伝えることに成功しました。フレーバーを連想させるカラーパレットを採用することで、視覚的にも楽しめるデザインへと進化させました。
- - 旧パッケージと新パッケージ
- - 新パッケージでは情報量が多く、視覚的に魅力が向上しています。
取り組みの成果と効果
この取り組みの結果、百貨店のお中元カタログに掲載が決まり、店頭での購入率が約1.3倍に向上したほか、SNSでも「#麩まんじゅう」や「#生麩スイーツ」の投稿数が増加しているというデータが確認されています。
消費者アンケートでも、「情報が見やすく、安心して購入できる」との声が多く寄せられ、さまざまな効果をもたらしました。
サステナブルな経営を目指して
計8回の打ち合わせを通じて、生麩スイーツの市場環境分析を行い、自社の強みや弱みを洗い出すSWOT分析が行われました。その中で、BtoC商品の開発が単なる直販用にとどまらず、BtoB提案のための技術力の表現や営業ツールとしての役割を果たす必要があることも確認しました。これにより、生麩スイーツの見せ方が向上し、最終的には会社の持続可能性を高めるためのブランド戦略が構築されています。
今後の展望と学び
サスティーンナゴヤの参加を通じて、以下の3つの大きな学びを得ました。
1. デザインは経営の一部である
2. 情報のわかりやすさは購買行動を変える
3. サステナブルは付加価値ではなく前提条件だ
株式会社麩柳商店の三輪健一取締役は、「生麩は日本の伝統食文化の中で脈々と受け継がれてきた食材です。今後も、環境にも人にも優しい食材としてその可能性を広げ続けます。」と語っています。
会社概要
- - 会社名:有限会社麩柳商店
- - 創業:1877年(明治10年)
- - 所在地:愛知県名古屋市西区那古野1-2-3
- - 事業内容:生麩の製造・販売、卸業務、企画開発
- - URL:麩柳商店公式サイト
お問い合わせ先:
有限会社麩柳商店
担当:新井智久
E-mail:
[email protected]