横浜市と日清オイリオが連携協定を締結
このたび、横浜市、リケンNPR株式会社、及び東京都市大学は、日清オイリオグループ株式会社と共に水素エンジンコンバージョンバスの研究実証に関する連携協定を締結しました。この取り組みが、地域の脱炭素化へとつながることが期待されています。
水素エンジンコンバージョンの実現に向けて
日清オイリオ、リケンNPR、東京都市大学の3社は、既存のディーゼルエンジンを水素エンジンに改造する研究に取り組んでいます。このプロジェクトは、横浜市での走行実証や、市民への啓発活動となるべく推進されていく予定です。この連携を通じて、CO2排出量の約20%を占める運輸部門の脱炭素化の選択肢が増加し、水素社会の実現が進むことが期待されています。
連携の主な内容
協定の中には、以下の3つの主要な取組事項が盛り込まれています。
1.
運輸部門のCO₂排出量削減:地域の運輸手段からのCO₂排出を削減する取り組み。
2.
水素エンジンバスの研究実証:水素を燃料としたバスの実質的な運行に向けた研究。
3.
横浜市での普及啓発:市内での走行実証データを通じて水素エンジンの利点を広報し、一般市民とバス事業者への認知度を高める。
具体的な取り組み
具体的には、日清オイリオとリケンNPR、東京都市大学が共同で、小型バスを使用した水素エンジンバスの研究実証を行います。この研究は、国立研究開発法人NEDOの「2025年度水素社会構築技術開発事業」にも採択されており、国の重要なプロジェクトとして位置づけられています。2026年度以降も継続して事業化に向けた取り組みが進められる予定です。
研究の内容
研究の具体的な内容には次のような調査が含まれます。
1. 環境対応バスのニーズ調査
2. エンジン改造による実現性調査
3. 車両設計の実現性調査
4. 実証試験計画の立案
横浜市はこの研究の進捗に応じて、中古の小型バスを用いた水素エンジンの改良を進め、バス運転手による試運転や、フィードバックの収集活動を計画しています。これにより、実用化へ向けた具体的なデータを集めることができます。
水素エンジンとは
水素エンジンは、ディーゼルやガソリンの代わりに水素を燃料とし、水素を燃焼させることで動力を得るエンジンです。排気ガスの大部分は水蒸気であり、環境負荷が非常に少ない点が特長です。これに対して、燃料電池自動車(FCV)は水素と酸素の化学反応を利用して電気を生成し、モーターを動かす電気自動車であり、水素の利用方法が異なります。
地域水素利活用への期待
神奈川県は、水素モビリティ社会の実現に向け、燃料電池車両の導入や水素ステーションの整備を進める重要地域として選定されており、横浜市も脱炭素社会を実現するための施策を強化しています。日清オイリオもその一環として、水素エネルギーの導入を加速させることが求められています。2050年のカーボンニュートラルへの道筋を作るため、早期に「HYDROGEN READY」を確立し、様々な技術を適用していく予定です。
この連携が生み出す革新的な技術と、それによる環境への配慮が、横浜市を含む地域社会全体に大きな影響を与えることが期待されます。