環境への思いをファッションに変える
最近、サステナブルなファッションが注目を集めていますが、その中でも特異な存在感を放つサングラスが登場しました。宮城県気仙沼市に拠点を持つamu株式会社が手掛けたこの製品は、使用済みの漁具を素材としてリサイクルし、環境問題に取り組んでいます。
廃漁具から生まれた新たな価値
「漁具から、価値の常識をひっくり返す」という理念を掲げるamuは、廃漁網の回収とリサイクルを行い、その素材を使用した「amuca® PA」を用いたサングラスを販売します。このサングラスは、全70%がマグロ延縄漁に用いられる釣り糸から作られており、使われなくなった漁具が新たな命を宿したプロダクトへと変化しています。
製品の特徴として、フレーム部分には宮城県気仙沼で回収された素材がふんだんに使われています。また、専用のQRコードを通して、その製品がどのような工程で形作られたのかを知ることができ、購入者は環境に対する意識を高めることができる仕組みが整っています。
漁業における廃漁具の現状
日本の海岸に漂着しているプラスチックごみのうち、漁業関連のゴミが59.5%も占めているという事実を知っていますか? 海洋に流入した漁具は、ゴーストギアとして生態系に甚大な影響を及ぼすことがあります。このような問題意識から、適切な廃漁具処理の必要性が叫ばれています。
現在、漁具のリサイクルや処分方法は確立されていないため、放棄や投棄が横行しています。これにより、漁師たちには高額な処分費用がのしかかっています。amuは、この課題に対して一貫したリサイクルシステムを構築することによって、資源への新たな価値を吹き込んでいます。
ライフスタイルブランドとのコラボレーション
私たちがこのサングラスに出会うのは、ライフスタイルブランド「moment of OCEAN」を通じてです。このブランドは、独自性を持ったプロダクトを展開し、持続可能な一次産業への貢献を目指しています。amiのサングラスが世代を問わず支持されるのは、そのデザインだけでなく、環境への配慮も確実に反映されているからです。
具体的には、中でも「Kesenray」はクラシックなウェリントン型であり、エレガントな印象を与えるのが特徴です。一方で、「Kesenmola」はクラウンパント型で、柔らかさと洗練された印象を融合させています。
さらに、これらのサングラスには付属品として、終了することなく利用可能なケースも付いており、実用的な側面も考慮されています。ケースは宮城県石巻市のウェットスーツの端材を使用しており、環境に優しい材料が使われています。
購入者の新たな愛着
すべての製品には「amuca®タグ」が付随しており、そのQRコードをスキャンすることで、製品の背景や製造のプロセスを知ることができる仕組みがあります。これによって、購入者はただのサングラスではなく、環境保全活動の一環として愛着を持って使うことができるのです。
未来への展望
amuは今後、さらなる広がりを持ち、アウトドアやアパレル業界の他のブランドと連携していく計画です。このことにより、より多くの消費者へ「いらないものはない世界をつくる」という理念を届けていくとともに、廃漁具のアップサイクルを進め、新たな資源の創出を促進していく方針です。
環境問題は私たち一人一人の意識に深く結びついています。amuの取り組むこのサングラスを手にすることで、私たちも一緒に環境貢献をしているのだという自覚が生まれるのかもしれません。