腸内環境と美容の関係：発酵性食物繊維の可能性は無限大

腸内環境を整えるだけでなく、美容にも影響を与えることが期待される発酵性食物繊維。その関心が高まっています。日本では、一般社団法人発酵性食物繊維普及プロジェクトが、腸から始まるウェルビーイングな日常の実現を目指し、さまざまな研究や情報発信を行っています。本稿では、発酵性食物繊維の効果とその重要性について、株式会社ミツカンとの共同研究結果を基に詳しくお伝えします。

研究の概要

ミツカン、摂南大学、京都府立大学は共同で、発酵性食物繊維の摂取が腸内環境や排便関連の生活の質（QOL）に与える影響を追求してきました。健康な成人105名を対象に行った臨床試験では、特に発酵性食物繊維が腸内環境の改善だけでなく、睡眠や肌の状態とも関連している可能性が示されました。

食物繊維の影響

食物繊維は長らく排便改善に寄与する食品として知られてきましたが、最近の研究では腸内細菌を介した全身への影響が注目されています。特に、発酵性食物繊維は腸内で善玉菌によって分解され、短鎖脂肪酸（SCFA）などを生成します。これらの物質は、腸上皮細胞や免疫系に好影響を及ぼし、さらには腸–脳軸や腸–皮膚軸を通じて睡眠や肌の健康にリンクしていることが示唆されています。

実施された臨床試験

本研究は、無作為化二重盲検プラセボ対照試験として行われ、参加者は2つのグループに分けられました。低摂取グループでは1日あたり平均2.2gの食物繊維を摂取し、高摂取グループでは8.2gを追加摂取しました。4週間の期間で、腸内細菌の変化や排便、睡眠の質、肌の状態を評価しました。

研究結果の要点

- 腸内環境の改善：食物繊維摂取により、腸内細菌の中でもビフィズス菌や酪酸産生菌が増加し、排便関連の生活の質（QOL）が改善しました。
- 睡眠と肌の状態：特に発酵性食物繊維を多く摂取したグループでは、起床時の眠気や睡眠維持に良好な影響が見られ、肌の透明感の向上も報告されました。
- 摂取量の影響：食物繊維の効果は、普段の食事からの摂取量によって異なることが確認されました。低摂取の参加者でも、少量の追加摂取で顕著な改善が見られたのに対し、通常の摂取が多い参加者はさらに高い摂取量が求められました。

これは、日常生活の中で自分に合った食物繊維の摂取が、腸内環境や全体的な健康に寄与することを示しています。