繊維廃棄物問題の新たな解決策
近年、アパレル業界における廃棄衣類の問題が深刻化しています。多くの衣類が廃棄される中、その再資源化に向けた選別作業の効率化が求められています。特に、現状では選別作業は主に人の手に頼っており、外観や手触り、品質表示ラベルを基にするため、どこか非効率的な部分が見受けられます。そこで、一般財団法人ニッセンケン品質評価センターが手のひらサイズの小型近赤外分光器を活用した衣類選別補助装置の開発を進めることになりました。
手のひらサイズで低コストな選別装置
新たに開発される装置は、環境省が支援する「令和8年度 環境研究総合推進費」に採択されたもので、その名も『小型近赤外分光器を用いた回収衣類選別補助装置』です。この装置は、手のひらに収まるサイズで、価格も100万円以下を目指しています。手軽に導入できる低コストが実現すれば、国内の回収・選別現場への普及も期待されます。
高精度な識別技術の実現
本研究では、近赤外分光器と多変量解析を組み合わせることにより、回収衣類の素材構成を迅速かつ正確に識別することが可能になります。特に重要なのは、リサイクル用途に応じた適切な原料選別のために、毛混用率が80%以上の衣類を識別する技術です。この識別精度は90%以上を目指しています。
環境への貢献と持続可能な社会
この研究の成果は、繊維to繊維リサイクルプロセスにおける課題を解決するだけでなく、廃棄衣類の削減にも寄与します。循環資源の安定供給を実現し、持続可能な社会の実現に向けて重要な役割を果たすと期待されています。
ぐるんと回る衣料循環の未来に向けて
ニッセンケン品質評価センターは、これまでの経験と知見を活かし、環境問題の解決に資する研究や技術開発を進めています。国際的な安全基準であるエコテックス®認証の誕生に寄与し、アパレル業界全体にわたる資源循環の徹底を支援してきました。さらに、同財団は衣料品のライフサイクルを通じたサステナブルファッションの推進に貢献していく所存です。
環境省の支援を受けたこの装置開発は、アパレル業界が直面する選別作業の効率化を実現するとともに、より持続可能で環境に優しい社会を目指す道筋を示すものです。私たちの衣料品が資源として再利用される未来に向け、今後の展開が楽しみです。