シミの形成要因が個別に異なることが判明
最近のポーラ化成工業株式会社の研究によって、シミの形成には個々に異なる要因が存在する可能性が示されました。この研究は、2025年8月に開催される日本美容皮膚科学会総会・学術大会で発表される予定です。特に、シミ(老人性色素斑)の形成にかかわる遺伝子の発現を細かく分析する手法である「マイクロバイオプシー」を用いて、シミごとのメカニズムを解明することに成功しました。
シミの多様性と構造的違い
シミは見た目の色や大きさが異なるだけでなく、内部的な状態にも違いがあるとされています。従来、シミ形成に関する主要なメカニズムは表皮細胞や色素細胞の活性化、メラニンの過剰生産、メラニンの輸送促進、表皮のターンオーバー遅延などが挙げられてきましたが、シミごとにその要因が異なるため、個別のアプローチが求められていたのです。
微小皮膚採取技術「マイクロバイオプシー」の利点
これまで採用されていた「パンチバイオプシー」は、皮膚をくり抜くため人体への負担が大きく、シミ分析には不向きでした。しかし、ポーラ化成工業が開発した「マイクロバイオプシー」は、直径250µmの極細針を使用し、ごく少量の皮膚細胞を痛みも少なく取り出すことができます。これにより、必要なRNAの量を確保しつつ、皮膚への負担を最小限に抑えることが可能になりました。
AIによる遺伝子発現の解析
この技術を用いて、研究チームは特定のシミに関連する遺伝子の発現量を定量化しました。AIを駆使してデータを集め、各シミの形成要因に関与する遺伝子グループを明確にしました。この結果、シミの種類によって異なる遺伝子の発現が確認され、各シミごとの特徴やメカニズムが見えてきました。
未来のシミ対策に向けた取り組み
今後、この研究成果をもとに、個々に最適なシミ対策を早期に実現することを目指してさらなる研究が続けられます。加えて、美容皮膚科の専門医とも提携し、実践的な医療現場での応用を促進することで、個人の肌の状態にマッチした美白対策や治療法を提供することが可能になるでしょう。
実施の背景
この研究は、池袋西口病院の船坂陽子医師との共同研究として進められています。船坂医師はシミ形成メカニズムや美白剤の開発において多くの成果を上げてきた専門家であり、その経験が本研究にも生かされています。
ポーラ化成工業は、最新の技術を駆使して、肌の悩みを根本から解決するための革新的なアプローチを模索し続けています。今後の研究結果に期待が寄せられる中、個々のシミに対する理解が深まることで、より効果的な美容法が手に入る日も近いかもしれません。