フラボノイドとアスコルビン酸の力
最近の研究で、肌の健康を守るための新たな抗酸化戦略が明らかになりました。株式会社ポーラと三生医薬は、フラボノイドとアスコルビン酸を利用し、肌の表皮細胞を酸化ストレスから守る方法を発見しました。この画期的な成果は、2025年12月に開催される日本分子生物学会で発表される予定です。
酸化ストレスとは何か?
日常生活の中で、私たちの肌は紫外線や環境ストレスなど、様々な要因によって酸化ストレスを受けやすくなります。これは、活性酸素が体内で生成され、それが細胞に悪影響を与えることを意味します。そこで、肌を健康に保つためには、酸化を防ぐ対策が必要不可欠です。
2つの抗酸化作用
ポーラの研究者たちは、酸化ストレスから肌を守るためには、2つのタイプの抗酸化作用が重要であると考えています。それは、活性酸素を即座に取り除く「即効性」と、細胞自身の防御力を高める「持続性」の両方です。アスコルビン酸はその即効性を持つ代表的な成分であり、一方でNRF2という細胞スイッチが働きかけて細胞内の抗酸化酵素を増やします。
フラボノイドの効果
今回の研究では、ヒドロキシラジカルという強力な活性酸素を取り除くために、フラボノイドを探し出しました。フラボノイドは植物に多く含まれており、その抗酸化効果に注目が集まっています。ポーラと三生医薬の研究チームは、特にヒドロキシラジカルを効率的に除去できるフラボノイドに焦点を当て、実験を行いました。
複合エキスの開発
数回の実験を経て、フラボノイドを大量に含む植物エキスとアスコルビン酸を組み合わせた複合エキスが開発されました。このエキスは、細胞に対する過酸化水素の負荷からも保護することが分かりました。実験では、この複合エキスを追加した細胞は、他の細胞と比べて酸化ストレスを受けにくい結果が得られました。これは、細胞の抗酸化力が向上したことを示しています。
NRF2の役割
また、複合エキスによってNRF2が活性化され、抗酸化遺伝子の発現が促進されることも確認されました。NRF2は抗酸化酵素を生成する指令を出す重要な因子で、これにより細胞は自ら酸化ストレスと戦う力を得るのです。これらの研究は、肌を守る新しいアプローチを示唆しています。
今後の展望
最終的に、これらの研究成果はより効果的なスキンケア製品の開発につながる可能性を秘めています。ポーラと三生医薬が開発したこの複合エキスは、美肌を求める多くの女性に届けられる日が来るでしょう。研究の進捗に注目し、今後の製品に期待したいところです。
研究の発表
この成果は、2025年12月3日から5日に行われる第48回日本分子生物学会年会で発表されます。ポスター番号は2P-486。この研究成果が、多くの人々の美肌対策に役立つことを願っています。