新国立劇場が贈る衝撃のオペラ『ヴォツェック』
新国立劇場(東京都渋谷区)で、この秋に注目を集めるのが、ベルクの名作オペラ『ヴォツェック』の新制作です。この作品は、20世紀オペラの金字塔として広く知られており、貧困にあえぐ兵士ヴォツェックの内面を描いています。演出を担当するのは、英国の巨匠リチャード・ジョーンズ。彼の手による新しい解釈に期待が高まります。
ベルク『ヴォツェック』とは
アルバン・ベルクが音楽を手掛けた『ヴォツェック』は、原作がゲオルク・ビューヒナーによる未完の戯曲であり、実在の殺人事件を元にした物語です。1925年にベルリンで初演されたこのオペラは、社会の歪みを前衛的に描写し、観る者に強烈な印象を与えます。
音楽は無調音楽が基盤にある一方で、叙情性をも兼ね備えており、ヴォツェックと彼の妻マリーの苦悩を際立たせます。作品全体を通して、音楽とストーリーが一体となり、深い感情の波を引き起こします。
壮大なキャストと演出陣
難役のヴォツェックを演じるのは、トーマス・ヨハネス・マイヤー。彼は過去にも新国立劇場で同役を務めた実績を持ち、今回の復帰に多くのファンが期待を寄せています。演出のリチャード・ジョーンズは、サウスバンク・ショー・アワードやトニー賞など、名だたる賞を受賞してきた実力派です。彼がどうこの作品を新たに表現するのか、非常に楽しみです。
他にも、キャラクター・テノールのアーノルド・ベズイエン、鼓手長役のジョン・ダザック、マリー役のジェニファー・デイヴィスなど、見逃せない顔ぶれが揃っています。指揮は大野和士芸術監督が務め、彼の指揮による緊張感あふれる音楽が観客を惹きつけます。
作品が描くもの
『ヴォツェック』の物語は、内縁の妻との厳しい生活を強いられる実直な男の精神の苦悩を描いています。妄想に苦しむヴォツェックが、妻マリーの不倫を知り、次第に狂気に走る様子が描かれており、人間の精神の脆さや社会の暴力を直接的に感じることができる作品です。
オペラトークや公演情報
また、新国立劇場では、オペラをより深く理解するための『ヴォツェック』オペラトークも開催されます。公演に先駆けて、作品のさまざまな魅力を発見できるチャンスです。ぜひ参加してみてください。
公演は2025年11月に行われ、チケットはすでに販売中です。注目の演出とキャストが織り成す新国立劇場の『ヴォツェック』を、お見逃しなく!