漁網のアップサイクルで業界を変革するamuの挑戦
近年、環境保護への意識が高まる中、漁業関連廃棄物である漁網の問題が焦点となっています。日本国内の海岸に漂着する海洋プラスチックごみの約59.5%は漁具が占めているとされ、今や無視できない深刻な問題となっています。そこで注目されているのが、宮城県気仙沼市に本社を置く企業「amu株式会社」です。
amuの背景とビジョン
amuは、「いらないものはない世界をつくる」というビジョンのもと、廃棄された漁網を新しい製品へとアップサイクルする事業を展開しています。この取り組みにより、漁具の廃棄による環境負荷を軽減し、漁業者の経済的な負担を減らすことを目指しています。
同社はこのほど、シードラウンドで累計約1.32億円の資金調達を行いました。この資金はセールスや広報の強化、漁網の回収ネットワークの構築、さらにはグローバル展開に使用される予定です。こうした取り組みを通じて、廃漁網から派生する新たな素材「amuca®」の普及を推進し、業界全体の常識を変えることを目指しています。
環境問題への取り組み
環境省によると、漁業の廃棄物処理は厳しい現状にあります。漁具が増える一方で、処理方法としては焼却や埋め立てしか選択肢がなく、これによるCO2の排出や環境負荷が問題視されています。これらの高額な処理費用は漁業者に負担を強いるため、業界内での経済的な負担も増えています。
amuは、こうした問題を解決するために、漁網の回収からリサイクル、さらには製品の販売までを一貫して行うシステムを構築。廃漁網を新たに「amuca®」という再生素材に生まれ変わらせ、多様な製品を展開しています。
資金調達の目的
新たに得た資金は、特に以下の項目に使われる予定です。
1.
セールス・広報体制の強化
新たな人材を採用し、国内外での認知度を高める施策が進められます。様々な企業との営業活動や、ブランドの理念・ストーリーを伝える広報活動を強化することで、持続可能な販売基盤を構築する意図があります。
2.
漁網回収網の構築とグローバルな展開
これまで全国の50ヶ所以上の漁港で使われていない漁網を回収してきたamuは、今後さらに回収網を広げ、国際的な環境貢献を目指します。
3.
海外市場への本格展開
国内だけでなく海外市場にもアプローチし、積極的に販売を開始することで、グローバルな成長を目指します。
まとめと未来展望
環境問題の解決に取り組むべく立ち上がったamuは、ただ単に廃棄物を回収するだけでなく、漁業者や地域経済へのプラスの影響をも目指しています。出資者からも高い期待が寄せられ、今後の事業成長に対する期待が一層高まっています。
廃漁網のアップサイクルという新たな挑戦を通じて、amuがどのような未来を切り開くのか、目が離せません。私たちの未来も、彼らの活動によって大きく変わる可能性があります。