最新技術で探るビタミンCの皮膚浸透経路とその効果
日本メナード化粧品株式会社が、名古屋大学との共同研究を通じて、皮膚に塗布されたビタミンCがどのように浸透するのかを、3次元で観察する新技術を開発しました。これにより、これまで謎だったビタミンCの浸透経路やその効力を生体に近い状態で解析することが可能になりました。
ビタミンC浸透の重要性
皮膚に直接塗布された成分は、しっかりと浸透し目標部位で効果を発揮します。しかし、その浸透経路や速度によって効果が変わるため、これを評価することは化粧品開発にとって不可欠です。ビタミンCも例外ではなく、その浸透特性を理解することは製品開発において極めて重要な課題です。
新たに開発されたイメージング技術
メナードは、名古屋大学の森林化学研究室及びあいち産業科学技術総合センターと手を組んで、凍結した皮膚を用いて成分の3次元分布を観察するイメージング技術を開発しました。この技術は、ビタミンCがどのように皮膚内部に浸透するかを、角質層における分布状況として観察することを可能にしました。
ビタミンCの分布解析
研究の結果、ビタミンCの浸透は細胞間を通る経路が優勢であることが分かりました。また、角質層においては、ビタミンCが角質細胞の内部よりも細胞の辺縁部分に多く存在しているという結果も明らかになりました。さらに、角質層と顆粒層の間ではビタミンCの分布が顕著に減少することが確認され、これには浸透を制御する障壁が存在する可能性が示唆されています。
技術の背景と意義
この研究は「知の拠点あいち重点研究プロジェクトⅣ期」の一環として進められ、最先端の技術であるGCIBとTOF-SIMSを活用しています。これにより、凍結された状態で皮膚の成分を観察し、浸透成分の状態を維持しつつ分析することができました。従来は乾燥などの前処理が必要で、構造が変化してしまうリスクがありましたが、この新技術により、より実際の生体に近い状態での解析が実現しました。これらの成果は、今後の化粧品の浸透技術開発に大いに役立つものと期待されています。
今後の展望
この重要な研究成果は、2025年に東京で開催予定の第50回日本香粧品学会学術大会で発表される予定です。これによって、さらに多くの研究者や開発者に新たな知見が共有され、ビタミンCを含む化粧品の進化が促進されることでしょう。私たちユーザーにとっても、より効果的なスキンケア製品が手に入る未来が近づいています。今後の進展に注目していきたいですね。