伍代夏子氏が珠洲市でペットとの同室避難の重要性を語る

2023年7月から、歌手の伍代夏子氏がアンバサダーを務める「りく・なつ同室避難推進プロジェクト」が進行中です。これは、災害時に人とペットが同じ場所で避難できる社会を実現することを目的としています。本プロジェクトは、ペットとの共同避難が直面する課題を認識し、飼い主がその重要性を理解する手助けをしています。

2023年10月25日、伍代夏子氏が約1年ぶりに石川県珠洲市を訪れ、地域の住人と交流し、彼らの現状や新たな課題について話を聞きました。訪問に先立ち、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンの橋本笙子氏から、珠洲市の復興状況や支援の概要を説明いただきました。

以前の訪問時に見られた被災した建物は、現在では解体が進み、空き地が広がっています。地域では徐々にデイサービスが再開されるなど復興が見受けられますが、新たに発生した問題も明らかになっています。具体的には、解体業者や工事車両が増えたことによる地域の安全性や子供たちの遊び環境に対する懸念です。

また、仮設住宅ではなく、自宅の修理を続けながら生活をしている矢野さんの話も興味深いものでした。彼は、ペットと共に避難した経験があるものの、周囲に人を気遣うストレスから体調を崩し、自宅に戻った経緯を話してくれました。ペットを受け入れる避難所の存在が、必ずしも快適で健康的な環境を提供するわけではないという実情を示しています。

子供たちについても、珠洲には遊べる場所が乏しく、金沢まで移動しなければならない状況を聞かされました。これはペットを飼う飼い主だけでなく、地域全体に影響を及ぼしている問題です。生活基盤の安定が得られないうちは、ペットを飼う環境に戻ることが難しいため、飼い主たちは無自覚にペットに対する責任を果たせないこともあるといいます。

また、被災後早期に避難所のペット預かり施設が閉鎖されることが、ペットの生活再建を妨げていることも課題です。医療も受けられない環境に置かれたペットは、健康を損ないやすく、さらには過去に一緒に避難できなかったことで新たな野良動物が増えるといった悪循環が生じています。

このような現状を踏まえて、同室避難できる先を確保することや、飼い主が常にこの課題を理解し責任を持って行動できるよう、情報を発信し続ける必要性が強調されます。これからも伍代夏子氏は、ペットを含む避難の重要性を広めていく活動を続けていくことでしょう。

このプロジェクトは、災害に対する備えはもちろん、ペットと共に生きることがどれほど大切であるかを再認識し、社会全体がこの意識を一層高めていくことを狙っています。これからも伍代夏子氏やプロジェクトチームの取り組みに注目です。