食品ロス削減と子ども支援を両立するフードバンクの挑戦

こどもふるさと便は、ネッスー株式会社が展開する新しいフードバンクの仕組みです。この取り組みは、こどの貧困問題と食品ロスという2つの深刻な課題を同時に解決することを目指しています。2023年、同プロジェクトは消費者庁長官賞を受賞し、その活動が高く評価されました。

日本のこどもと食品ロスの現状

日本国内では、こどもの約9人に1人が相対的貧困に苦しんでおり、一人親世帯ではその割合がさらに高まります。しかし一方で、年間500万トン以上の食品が廃棄されているという状況も深刻です。実際、1人あたりの食品ロスは毎日「おにぎり1個分」に相当します。このような食品ロスを減少させるための仕組みが不足している現状をうけ、こどもふるさと便はフードバンクとしての役割を果たしています。

フードバンクの仕組み

こどもふるさと便は、ふるさと納税を財源とし、様々な地域の生産者や農協、漁協と連携することで成り立っています。寄附者が地域特産品を受け取りながら、同時にこどもたちへの支援にもつながる仕組みが整っています。寄附者は地域の美味しい食材を受け取りつつ、こども食堂や困難な家庭に必要な食材を届けることができるのです。

特に、食品ロス削減に貢献するために、未利用魚や規格外野菜などを応援品として積極的に利用しています。これによって、食品の無駄を減らし、同時に寄附者の思いをこどもたちの食支援に直接つなげています。

支援の広がりと目指す未来

2022年から始まったこの取り組みは、現在までに約90トンの食品支援を達成しています。さらに、30の自治体と協議を進めており、2026年度までに10〜20の地域に拡大し、年間1,000トン以上の食品ロス削減を目指しています。こんな取り組みが日本全国で広がることで、こどもたちの支援がより一層進むことが期待されています。

地域資源の活用

長崎県の対馬市では、未利用魚を活かした食育プロジェクトも展開中です。漁場の資源を有効活用し、特に「食害魚」と呼ばれる問題を抱える未利用魚を、「こどもふるさと便」を通じて食卓に届けることで、食育と食品ロス削減を同時に実現しています。食文化の中でこどもたちが新しい体験をすることで、食の大切さを学ぶ機会にもなっています。

受賞に寄せる思い

ネッスー株式会社の代表、木戸優起氏は、この受賞を非常に嬉しく思い、全国の自治体や企業と連携しながらより多くの支援を実現する決意を表明しました。こどもたちの未来を守るため、さらなる挑戦を続けていくと述べており、持続可能な社会を目指す姿勢が魅力的です。

総合的な取り組みで社会貢献を

このプロジェクトの成功は、食品ロスという問題とこどもたちの支援という2つの側面を考える上で重要です。寄附者が直接支援に参加できること、地域資源を有効に活用することは、持続可能な社会形成に向けた大きな第一歩です。このような取り組みを知ることで、私たちも身近にできる社会貢献について考えていきたいですね。_{こどもふるさと便}|