学びの力が生んだ新色「涼青の夏」の魅力を探る
北海道・中富良野町の中富良野小学校から誕生した新色インク「涼青の夏(りょうせいのなつ)」。なんとこの色は、児童たちのインクプロジェクトを通じて地域の美しさや文化を表現したものです。このプロジェクトは、株式会社オカモトヤと中富良野小学校が連携し、地域資源の価値や子どもたちの創造力を発揮するための教育の一環として進められました。
インクプロジェクトの背景
中富良野小学校では、地域の良さを“色”で表現することをテーマにした「インクプロジェクト」に取り組んでいます。今年は特に、来年度の義務教育学校「なかふらの学園」への移行を控えた重要な年でもあり、現6年生にとっては小学校最後の総合授業の時間となっています。子どもたちは「この学年だからこそできる贈り物を作りたい」という熱い思いから、地域の魅力をインクで表現しようという決意を固めました。
株式会社オカモトヤは、昨年に引き続き授業のパートナーとなり、商品づくりの視点や調色のプロセスを指導しました。子どもたちは、地域を観察し、理解し、様々な視点から表現を考えていくことで、より深い地域理解を得ることができたのです。
町の魅力を探求する旅
プロジェクトは「自分たちだけが知る中富良野の魅力はなんだろう?」という問いから始まりました。子どもたちは、町内の北星山や住宅街、農園を実際に訪れ、目で見た景色や季節の変化を観察しました。「北星山の木の間から見上げる空」や、「メロン畑から漂う甘い香り」など、町の日常にある特別な瞬間を一つ一つ大切に記録しました。
その中で浮かび上がったテーマは、中富良野の名産である「青肉メロン」。このメロンは市場であまり見かけない希少品種であり、青肉の瑞々しさが夏を象徴するとして、インク制作の参考にされました。保護者の協力で、子どもたちはこの青肉メロンの存在を肌で感じ、その味や香りをもとに色のイメージを育てていきました。
理科とデザインの融合
インク制作は、理科的な知識が必要な調色の工程から始まります。子どもたちは色の三原色や濃淡の調整を行い、何度も試作を重ねながら目指す色に近づいていきました。「もっとメロンの青みを出したい」「風の透明感を加えたい」と試行錯誤の連続ですが、彼らは根気強く挑戦を続けました。最終的に出来上がったのは、黄緑・黄色・青が美しく重なり合った爽やかなグリーンです。これは青肉メロンの瑞々しさや夏の空気、北星山からの風など、中富良野の夏を思い起こさせる特別な色合いです。
パッケージデザインにも子どもたちの工夫が光ります。「この色からどんな夏を想像してもらいたいか」を意識し、懐かしさやゆったりとした時間の流れを感じさせるデザインが施されました。ラベルには、児童たちの手書き文字が使用され、その個性が表現されています。
インク名の由来とその特別な意味
完成したインクの名前は「涼青の夏」。教室や畑を通り抜ける夏の風の“涼”と、青空やメロンの果肉の青を組み合わせた造語です。この名前には、インクを使う人が中富良野の夏を思い出してくれることを願う気持ちが込められています。
製品の詳細と今後の展望
「涼青の夏」は2026年2月18日に販売が開始される予定で、価格は2000円(税込)。商品の中には、子どもたち自らが調色した唯一無二のインクが詰まっています。販売はふるさと納税の返礼品としても予定されており、多くの人に中富良野の魅力を届ける機会となります。
児童たちが感じ取った地域との絆、その思い出や物語が詰まった「涼青の夏」は、単なるインクではなく、彼らの成長と創造性を示す大切な作品です。これからもこのプロジェクトが子どもたちに新しい学びの場を提供し、地域の魅力を世界に発信していくことを期待しています。