画期的な治療法の開発へ向けて
アトピー性皮膚炎や蚊媒介感染症は、現代社会において深刻な問題となっています。米国のバイオテックベンチャー、
Taxa Technologiesは、慶應義塾大学と新たな治療法の研究を推進するための契約を締結しました。この提携を通じて、両者はアトピー性皮膚炎や蚊に関連する新しいマイクロバイオーム治療を開発することを目指しています。
背景と目的
アトピー性皮膚炎は、発疹や痒みを引き起こす皮膚疾患であり、患者とその家族の日常生活に大きな負担を強いています。さらに、地球温暖化の影響で蚊が生息する地域が広がり、デング熱やマラリアなどの蚊媒介感染症が増加しています。これにより、世界で年間70万人以上が亡くなっている現実もあります。
Taxa Technologiesは、皮膚マイクロバイオーム研究を基盤にした新しい治療法の確立を目指し、最新の組換え微生物技術を駆使して、効果的な成分の研究開発に取り組んでいます。この度、慶應義塾大学との契約により、新たなアプローチを加速させることになりました。
提携の内容
この契約により、Taxaは自身が持つ治療候補の菌株や臨床研究データ、解析技術と、慶應義塾大学医学部の微生物学や免疫学のリソースを相互に利用します。これにより、以下の3つの研究内容に焦点を当てて進められます。
- - アトピー性皮膚炎に有効な細菌株の臨床評価
- - 蚊を引き寄せる要因を抑える細菌株の研究と検証
- - 宿主(ヒト)と微生物の相互作用メカニズムの解明
研究者たちの見解
慶應義塾大学の本田賢也教授は、Taxa Technologiesの研究チームと協力することで、他にはないユニークなアプローチを実現できると語っています。「疾患治療に効果的な細菌種の特定から臨床応用に至るまでのプロセスが迅速であり、他で得られない方法論を確立しています」と彼は述べました。[1]
また、Taxaのチーフサイエンティストであるジョイコブ・ベイカー博士も「マイクロバイオーム研究は成熟しつつあるが、さらなる革新の可能性が残っている」と語り、慶應義塾大学とのコラボレーションに期待を寄せています。
Taxa Technologies, Inc.について
Taxa Technologiesは、「Superpower your skin™︎」というミッションのもと、合成生物学を用いて画期的な化粧品や医薬品の開発を行う企業です。2024年5月には、ワキガ予防製品への応用を目指し、ワキガ原因菌の遺伝子改変に成功しました。2026年には、無臭菌との入れ替えによって一度の塗布で長期間の効果が期待できるデオドラントを販売する計画もあります。
このように、Taxa Technologiesは革新と実用性を兼ね備えた研究を通じて、今後の皮膚疾患や感染症対策に大きく貢献することが期待されています。最新の研究成果に注目が集まります。
[1]: 原文引用:本田賢也教授のインタビューより。