2025-26年秋冬ファッションが示す“原点回帰”のトレンド
近年、世界中で保護主義が強まる中、ニューヨークとロンドンのファッションウィークでは、自国の文化や社会情勢に寄り添うクリエイティブな動きが顕著に現れています。しかし、これらの動きは「後退」ではなく、自分たちのアイデンティティを再確認し、新たな創造性を生む契機となっています。その一例として、今シーズンの表紙を飾る「カルバン・クライン コレクション」と「バーバリー」があり、この2つのブランドも自国のスタイルを見つめ直す姿勢が色濃く反映されています。
ニューヨーク:進化する意志の表現
2025-26年秋冬のニューヨークコレクションでは、反トランプのメッセージが散見され、Z世代への共感を生む作品が印象的でした。また、経験豊富なデザイナーたちによる新たな進化も確認されました。特に、他の都市のランウェイで多く見られるデコラティブな要素も登場し、NYらしい洗練されたリアルクローズのスタイルが再確認されました。華やかさを求めるのではなく、知性を感じさせる“コンシャス・グラマー”なスタイルは、新たなファッションインスピレーションを提供してくれるでしょう。
ロンドン:伝統に触発された新しいスタイル
一方、ロンドンでは厳しい経済環境により、内向的な思考が強まる中で「英国スタイル」の原点を再認識するクリエイションが多く見られます。かっちりしたアイテムに柔らかなテクスチャーを組み合わせた“フルイド・クラシック”と呼ばれる新しいスタイルは、伝統を保ちながらも現代的な感覚を兼ね備えています。このアプローチは、伝統をただ模倣するのではなく、リデザインすることで新しい価値を生み出しています。
ドーバー ストリート マーケット パリが目指す未来
さらに、ドーバー ストリート マーケット パリ(DSMP)の取り組みにも注目が集まっています。このお店は、開店から9ヶ月が経過した現在、エイドリアン・ジョフィが率いるチームの努力によって、常に進化を遂げています。特に、ジョフィCEOを支える2人のキーパーソンに独占インタビューを行い、店作りの哲学や未来のビジョンについて伺いました。
東京ブランドの新しい動き
2024年12月から2025年2月にかけて行われる「楽天 ファッション ウィーク東京」の前に、多くの東京ブランドが独自にショーを実施しています。海外進出を視野に入れたこの動きは、各ブランドの独創性を示す機会となっています。このように、国際的な視点を持ったデザイナーたちが、独自のタイムスケジュールでショーを開催することで、日本のファッション界は新たな活気を取り戻しています。
転職した飲食業界のオーナーたち
最後に、連載「ファッション&ビューティパトロール」では、飲食業界に転身した3人のオーナーにスポットを当てています。彼らはファッションやビューティでの経験をどのように活かし、新しいビジネスを創り上げているのか。知見を生かした経営の視点は、業界に関わる者にとって必読です。
これらのトピックを通じて、2025-26年秋冬のファッションは、自国の根源を見詰め直しつつ、新しいスタイルを模索する時代の流れを感じさせます。私たちが日々身に着けるファッションが、どのように私たちの個性や社会環境と連動しているかを再考する機会となることでしょう。