小麦ブランが免疫機能をサポートする新たな可能性を解明

農研機構と日清製粉グループが行った共同研究により、小麦ブランに含まれるアルキルレゾルシノールが免疫機能に重要な役割を果たすことが明らかになりました。この発見により、小麦ブランが健康維持に寄与する可能性が示唆されています。

健康食品としての小麦ブラン

小麦ブランは、食物繊維が豊富で消化をサポートすることで知られていますが、その効果だけでなく、免疫に対する働きにも注目が集まっています。研究チームは、腸管内での分泌型IgAという抗体の量が、小麦ブランの摂取によってどのように維持されるかを探求しました。

新たに発見された成分

研究の結果、アルキルレゾルシノールという成分が、抗体産生を促進するサイトカインであるBAFFの生産を刺激することが確認されました。この成分は、小麦の外皮である小麦ブランに含まれており、腸管内での免疫応答を強化する可能性があります。そのため、小麦ブランは高齢者の健康維持に貢献する食品として期待されています。

S-EEM法による成分同定

また、農研機構が開発したS-EEM法と呼ばれる新しい技術により、成分同定が迅速に行えるようになりました。この技術は、成分が持つ蛍光情報を利用することで、様々な活性成分を効率良く発見する手法です。これにより、従来の方法に比べて時間とコストを大幅に削減できると同時に、健康機能性だけでなく、味や香りなどの評価にも活用が期待されています。

高齢者の健康維持にむけた期待

超高齢社会を迎えた日本において、免疫機能の向上はますます重要です。新型コロナウイルスの流行を経て、特に60歳以上の高齢者における感染症のリスクが高まっていることから、日常的な健康維持の方法として小麦ブランの活用が注目されています。今後は、どの程度の量の小麦ブランを摂取すれば最も効果的かを研究し、その結果を食品産業に生かしていく予定です。

小麦ブランの未来

小麦ブランは、既に全粒粉パンやブランシリアルとして市場で広く流通しています。今後の研究結果が広まれば、さらに多くの食品に小麦ブランが使用されるようになることでしょう。世界の健康志向の高まりに応じて、小麦ブラン市場は今後数年間でGrowすることが期待されており、この成分が高齢者の健康という新たなニーズに応えることができるかもしれません。