神奈川県立商工高等学校の新しい取り組み
神奈川県立商工高等学校において、進化を遂げつつある教育モデルとして注目を集めるアントレプレナーシップ教育プログラムが始まりました。これは、地域の飲食事業者であるトリゴコロとの連携を基に、高校生が課題の発見から商品開発、販売までを体験できる実践的な授業です。このプログラムは、福岡発のスタートアップ株式会社PECOFREEが協力し、「食×教育×地域」をテーマにした新たな学びの場を提供しています。
取組みの背景
神奈川県立商工高等学校では、地域企業との協力によって実践的な授業づくりを進め、生徒が“ものづくりの楽しさ”や“ビジネスの仕組み”を学ぶことに力を入れています。特に、今年度は2年生を対象に、4人1チームで構成された全9チームが集まり、お弁当の開発をテーマにして活動を行っています。
授業では、ターゲティングやリサーチ、商品企画から販売までのプロセスを大切にし、各チームがアイデアを出し合って「販売できる商品」の開発を目指しています。また、発想の整理や課題解決の方法についてはPECOFREEの代表、川浪達雄が指導を行い、実務面ではトリゴコロの代表、加賀屋氏がメニュー開発や原価計算について教えています。
学生たちの成長
生徒たちは商品を考えるにあたり、「誰に食べてもらいたいか」を常に意識し、マーケティングやものづくりの観点から“自分たちの企画を社会に届ける力”を養っています。これにより、単に商品開発を超えた学びの体験が実現しています。
授業の様子では、先生がプロジェクトの説明を行い、学生たちが加賀屋氏に質問をする姿が見られます。この直接的な対話が、生徒たちの視野を広げ、さらなる創造性をもたらすことが期待されています。
これまでの成功と未来の展望
商工高校では、過去6年間に地域企業との連携を深め、ドレッシングやタレなどの商品開発に成功しており、昨年度開発した「具 Good ポン酢」が全国高等学校フードグランプリに出場するなどその成果が顕著に現れています。今回のアントレプレナーシップ教育も、この流れを受け継ぐ形で新たな取り組みと位置づけられています。
授業で開発されるメニューは2026年2月に校内での販売予定となっており、その後も地域イベントでの販売や、トリゴコロが他校に配達する際に「商工高校が開発したお弁当」として提供する計画も進められています。これにより学びの成果が地域全体に広がり、実際に“社会で流通する商品”として展開されていく予定です。
教育者の声
塚本先生は、実際の事業者との関わりを通じて生徒たちの考え方や視野が拡がっていると語り、自分のアイデアが誰かに届く経験が彼らの学ぶ意欲や責任感を高めている点を強調しました。また、チームで意見をまとめる力や、自ら課題を見つける力をさらに発展させていきたいとの考えを示しました。
加賀屋氏も、生徒の柔軟な発想から新たなアイデアに出会うことに驚きを感じており、そのプロセスを通じて“つくる面白さ”を生徒に体験してほしいと促します。川浪氏も、課題を捉え解決する思考プロセスの重要性を訴え、生徒たちが挑戦を楽しみながら成長していく姿を楽しみにしています。
まとめ
PECOFREEは、今回の取り組みを通じて「食×教育×地域」をつなぐアントレプレナーシップ教育の輪を地域から全国へ広げていくことを目指しています。また、商工高校の生徒たちもこの新しい試みを通じて優れたビジネススキルと地域意識を育むことが期待されており、今後の活動にますますの注目が集まります。