ミトコンドリアの機能低下と老化の新メカニズムとは？

老化の新たな仮説：エイジングスパイラル

近年、老化メカニズムに新たな視点が加わりました。それは、株式会社メディオン・リサーチ・ラボラトリーズの医学博士、日置正人氏によって提唱された「エイジングスパイラル仮説」です。この仮説は、国際医学誌Medical Hypothesesに正式に掲載され、老化におけるミトコンドリアの役割と二酸化炭素（CO₂）との関連を探求しています。

エイジングスパイラル仮説とは？

この新しい理論では、老化が進行する原因として、ミトコンドリアの機能低下とその結果としてのCO₂代謝の低下に着目しています。具体的には、ミトコンドリアがエネルギー（ATP）を供給する能力が衰えると、細胞がエネルギーを節約し、結果として高コストな代謝を抑制します。この過程で生成されるCO₂も減少し、細胞への酸素供給が減少することが示唆されています。これがさらにミトコンドリアの機能低下を招くという悪循環が、「エイジングスパイラル」と呼ばれるものです。

エイジングスパイラルの過程

1. ミトコンドリアの機能低下
2. エネルギー（ATP）の不足
3. 高コストな代謝活動の抑制
4. 二酸化炭素（CO₂）産生の減少
5. 細胞への酸素供給量の低下
6. さらなるミトコンドリア機能の低下→ これは繰り返しされ、悪循環が続く。

このプロセスを通じて、老化は単なる一時的な現象ではなく、持続的なうねりが生じるとされます。ここで重要なのは、CO₂が単なる代謝の副産物ではなく、酸素供給を調節する重要な因子であるという点です。これにより、老化のメカニズムを理解し、新たな治療法の開発の基盤となる可能性が示されています。

研究の可能性

日置氏の研究は、老化によって引き起こされるさまざまな疾患、たとえば神経変性疾患やサルコペニア、皮膚老化、がんなどを理解するための新しいフレームワークを提供します。特に、CO₂を介した酸素供給の調節機構が老化過程に関与する可能性が示唆されており、今後の研究によって新たな知見が得られることが期待されます。