キリンの未来を切り拓くAI役員「CoreMate」の導入
キリンホールディングス株式会社が提唱する「KIRIN Digital Vision2035(KDV2035)」に基づいて、AI役員「CoreMate」を導入することが決まりました。2025年7月以降の経営戦略会議で正式に稼働するこのAI役員は、キリングループの意思決定プロセスに新たな風を吹き込むことを目指しています。
「CoreMate」の特徴と開発背景
「CoreMate」の開発には、過去10年間の取締役会や経営戦略会議の議事録、社内資料、さらには外部からの情報を活用し、12種類の人格が構築されました。これにより、AIは経営会議内で複数の視点から意見を交換し、重要な論点を明らかにします。このプロセスを通じて、実際の経営層に対し、質の高い情報を提供し、迅速な意思決定を促進します。
本格導入後には、年間で30回以上のグループ経営戦略会議で「CoreMate」が使用される予定です。その目的は、伝統的な意思決定プロセスにAIを加えることで、経営戦略をさらに深く、広く考える機会を提供することにあります。
「CoreMate」導入の目的と予想される効果
キリンのビジョンである「人がやらなくてよい仕事をゼロにし、人と共に価値を創出する」という二本柱に基づいて、「CoreMate」導入の目的は主に二つです。まずは生産性向上、次に価値創造の促進です。
生産性向上
経営会議に臨む起案者は「CoreMate」と事前に付議内容を検討することで、多角的な視点を取り入れることができます。これにより、資料作成の精度が向上し、結果として準備時間の短縮や会議の効率化が実現します。この準備プロセスを通じて、経営層がより価値の高い業務に時間を割くことが可能となります。
価値創造の加速
「CoreMate」は、過去の経営知見に加え、最新の専門知識を取り入れることで、経営会議での議論の質を向上させます。AIが提供する客観的かつバラエティに富んだ意見は、変化の激しい市場に迅速に対応し、イノベーションを生み出すキーとなります。
今後の展望
当初はキリンホールディングスの経営戦略会議に「CoreMate」を導入し、将来的には取締役会や関連事業会社でも活用を拡大する予定です。また、会議中の議論内容をリアルタイムで可視化する機能や、対話型AIとしての機能拡張も考えられています。
キリンホールディングスは「KDV2035」に基づくデジタル活用を進め、食や医療に関連する業界での持続可能な成長と社会的価値の向上を目指しています。AI役員「CoreMate」の導入は、その第一歩であり、未来の経営に革命をもたらすでしょう。