子どものおさがり文化を考える。衣替え時のママたちの思いと悩み

児童服のおさがり文化と衣替えのリアル

衣替えの季節がやってきました。この時期、子どもを持つママたちはクローゼットの中身を整理し、昨年の衣類がサイズアウトしていることに気づくことが多いでしょう。このような衣替えの瞬間には、大切な「気づき」が伴います。

そして、衣替えとともに頻繁に話題になるのがおさがり。多くのママたちが、子ども服を誰かに譲ることにしていますが、これは助け合いや思いやりの表れである一方で、時にはマナーや人間関係に悩む原因にもなっています。株式会社グラフィコでは、衣替えに関する意識調査を実施しました。今回はその調査結果を基に、現代における「おさがり文化」について深掘りしていきます。

ママたちの気づきと洗濯事情

調査によると、衣替えの際にお子さんの服がサイズアウトしていた経験があるママは約9割に達し（「よくある」41.1%、「たまにある」47.2%）、また、過去の服にシミや黄ばみを発見したという回答も7割以上にのぼりました（「よくある」18.5%、「たまにある」50.9%）。まさにこの時期は、ママたちにとって「気づきの季節」と言えるでしょう。

しかし、服を適切に保管するための「しまい洗い」を実施しているママはたった34.3%。残る6割は「知っているがやっていない（27.4%）」か「知らない（38.3%）」という状況です。ここからは、衣替えの意義と実践が広まっていないことが伺えます。

サイズアウト後の服の行く先

サイズアウトした服の行方については、なんと66.1%のママが「譲る」と回答しています。この流れは、親戚や友人など親しい関係の間でのリユース文化がしっかりと根付いていることを示しています。

一方で、「売る（35.2%）」や「捨てる（34.7%）」と回答したママも多く、特に「状態が悪い」「相手が見つからない」「手間がかかる」など、リユースに対する足かせもあることが分かりました。また、「思い出として保管する（18.9%）」という回答もあり、服が「モノ以上の思い出」として扱われている側面も存在しています。

おさがりのケアに見る温度差

次に、おさがりを人に「あげる」時と「売る」時のケアの違いについて見てみましょう。「洗濯機で洗う」という項目では、あげる前の実施率が51.0%なのに対し、売る前の実施率は70.3%という結果が出ました。これは、あげる相手への気持ちが手を抜きがちであることを示しています。特に、友人や親戚にあげる際には、「まぁいっか」と気が緩む傾向があるようです。

おさがりでの困った体験

調査では、おさがりをもらって「困った」経験があるかたずねたところ、回答者の6割以上が「ある」と答えており、「タバコ臭」「洗濯しても取れないシミ」「好みでないデザイン」といった具体的な声が寄せられました。親切のつもりがかえって負担となり、見えないマナーの重要性が浮かび上がってきます。おさがりは単なる物の受け渡しではなく、相手への思いやりが表れるコミュニケーションの一環です。

“おさがりマウント”の現状

最後に、「おさがりマウント」に関する実態も紹介します。約3人に1人が親戚や友人からマウントを感じる経験があると回答。この背後には、おさがりを渡す際に行動や発言がミスリードを引き起こすことが含まれています。おさがり文化が本来の意図である感謝の気持ちでつながるものであるはずですが、時には気まずい状況が生まれる原因にも。おさがりを渡すにあたっては、「清潔にして渡す」ことがマナーで、気持ちよいおさがり文化を築くためにはその一歩が欠かせません。