老舗和菓子屋「お亀堂」の事業承継と未来への挑戦
はじめに
日本の多くの中小企業が直面している課題の一つが、次世代への事業承継です。特に地域に根ざした老舗企業が廃業する事例が増えており、その影響は広範囲に及びます。愛知県豊橋市にある「お亀堂」は、創業から70年以上の歴史をもつ和菓子店として、事業承継に挑戦しています。このたび豊橋市が発行した事業承継啓発リーフレット「廃業させないまち とよはし」Vol.8にその事例が取り上げられました。
中小企業の事業承継の現状
日本では多くの企業が後継者不足によって苦境に立たされています。特に中小企業はその傾向が顕著で、老舗企業が次代に引き継いでもらえずに廃業に追い込まれることが少なくありません。これを未然に防ぐため、豊橋市では事業承継の啓発を進め、地域企業の存続をサポートしています。
お亀堂の歴史
お亀堂は昭和25年に初代社長が甘味茶屋を立ち上げたことから始まりました。地域の人々に愛される和菓子店として成長し、現在では豊橋市を中心に6店舗、また古民家カフェとしても展開しています。従業員数は約90名に達し、三河地域の代表的な和菓子店として確固たる地位を築いています。
4代目社長の経営改革
2023年に4代目社長に就任した森貴比古氏は、2020年から事業承継について意識し始めました。コロナ禍による経営環境の変化を受けて、「このままだと老舗が消えてしまうかもしれない」と考え、自らの挑戦を決意しました。 "お亀堂らしさを残しつつ、新しい挑戦を進めよう" と心に誓った森社長は、事業のデジタル化を進め、市場のニーズに応えた商品開発にも積極的に取り組んでいます。
デジタル化と革新
森社長の就任後、お亀堂では発注日報や勤怠管理、給与明細のデジタル化を進め、効率的な運営体制を築きました。また、地域企業とのコラボ商品や地元食材を活かした商品開発、SNSを利用した情報発信も行っています。これにより、伝統と革新を両立した取り組みが見られます。
受賞歴
お亀堂では新商品開発にも力を入れています。「ブラックサンダーあん巻き」は愛知県ふるさと食品コンテストで最優秀賞を受賞し、全国大会では農林水産省食料産業局長賞を得ました。また、和菓子「ゆめかなう」は全国菓子大博覧会で農林水産大臣賞を受賞するなど、地域を代表する和菓子店としての地位を確立しています。
今後の展望
森社長は今後の目標について、「百貨店や空港など市外への販路拡大を進めたい」と語ります。また、「地域の企業や農家と協力し、ここにしかない価値を提供していきたい」との意欲を示しています。「お亀堂を目当てに、豊橋に来てもらえるような店舗を目指したい」と夢を描いています。
経営者へのメッセージ
最後に、森社長は事業承継について次のように述べます。「承継は過去を守るためでなく、未来に希望を残すこと。承継は終わりではなく、新たな挑戦のスタートなのです。」
とよはし事業承継ひろば
豊橋市では、金融機関や支援機関と連携して、事業承継相談、後継者支援、経営サポートなどを行う「とよはし事業承継ひろば」を設置しています。相談は無料で受け付けており、地域の中小企業をサポートする体制が整っています。
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