松本健太郎さんがSHIROで働く意味とは
株式会社シロが新たに採用した松本健太郎さん。彼は若年性アルツハイマー型認知症と診断されていますが、その障害を乗り越えて新しい仕事に挑戦する姿勢が多くの人に希望を与えています。SHIROでは、社員それぞれのライフスタイルに応じた働き方を推進しており、多様な背景を持つ仲間が共に育んでいる場所です。
松本さんは、北海道砂川市の「みんなの工場」での勤務を通じ、病気を理由にキャリアを諦めることがない社会の実現を目指しているのです。彼がこの職場で感じる「働く喜び」は、私たちが日常で見落としがちな大切なものを再確認させてくれるでしょう。
松本さんの採用までの道のり
松本さんは、以前勤めていた企業で長年働き続けていましたが、病気による家族の負担を減らしたいという思いから、通院先の砂川市への移住を検討しました。そこで出会ったのがSHIROのブランドプロデューサー、今井さんです。今井さんは、松本さんの「常に笑顔で前向きな姿」を見て、ぜひ一緒に働きたいという気持ちが芽生えたとのこと。
SHIROの代表取締役、福永氏は、「認知症でも働ける社会を作りたい」という思いから松本さんを採用することになったと明かしています。「普段当たり前のことが当たり前ではない」と気付かされることや、「相手を考えたコミュニケーション」の重要性を松本さんがもたらしてくれると確信しています。
若年性アルツハイマー型認知症とは?
この病気は、65歳未満で発症する認知症の一種であり、松本さんの場合、アルツハイマー型のものです。脳に異常なタンパク質が蓄積することで、神経細胞が破壊されてしまうのが主な原因です。若年性アルツハイマー型認知症は記憶や判断力に影響を及ぼし、就業においても非常に厳しい状況です。
実際、日本ではこの病を持つ67%の人が仕事を失うという厳しい現実があります。しかし、松本さんはその事実を変えていこうとしています。彼は、自身の経験を通して、「認知症だと診断されても、雇用の機会を失うべきではない」と発信しているのです。
働くことで届けるメッセージ
松本さんは、SHIROでの仕事を通じて、認知症に関する理解を深めてもらうための活動も行っています。特に、子供たちに夢を描かせる「おしごと体験」を通じ、働く楽しさやものづくりの魅力を広めています。彼の活動は、若年性アルツハイマー型認知症への理解と、その必要なサポート体制を強化する取り組みとして大きな役割を果たしています。
ほっかいどう希望大使としての活動
松本さんは、2024年に施行される認知症基本法をもとに「ほっかいどう希望大使」に任命されました。彼は、認知症についての正しい知識や理解を深めるための講演活動などを通じて、社会に希望を届けることを目指しています。家庭や企業にもそのメッセージを届けようとする彼の姿勢は、多くの人にインスピレーションを与えることでしょう。
まとめ
松本健太郎さんの取り組みを通じて、若年性アルツハイマー型認知症への理解が深まり、より多くの企業が障害者雇用に取り組むきっかけとなることが期待されます。SHIROでの彼の新たな挑戦は、社会全体における価値観を変えるための一歩となるでしょう。松本さんの言葉通り、「認知症でもできることはたくさんある」というメッセージが広がっていくことを願っています。その希望は、多くの人々の心に響き、新たな道を照らすのです。