旭化成エレクトロニクスが実現するAIとセンシング技術の融合
旭化成エレクトロニクス株式会社が、米国のスタートアップAizip, Inc.との協業により、革新的なAIを活用したセンシングソリューションを提供することを発表しました。この新たな取り組みは、高齢者の健康支援を目的とした次世代ヘルスケア機器への応用を目指しています。
2つの画期的な技術
この協業によって導入されるのは、
ミリ波レーダーによるリアルタイム嚥下検知技術と、
筋電(EMG)信号を用いたジェスチャー認識技術の2つのAI関連センシング技術です。これらの技術は、専門知識がなくても簡単に高度なセンシング機能を製品に取り入れられる利点を持ち、電子機器メーカーのニーズに応えます。
ミリ波レーダーによる嚥下検知技術
日本では、誤嚥による肺炎が深刻な問題となっています。厚生労働省の統計によると、65歳以上の高齢者がその多くを占めており、米国でも同様の事象が見受けられます。この課題に対応するため、旭化成のミリ波レーダー技術は、非接触で嚥下音を測定し、リアルタイムでその状態をモニタリング可能とします。これにより、高齢者が安全に飲食できる環境を提供することが期待されます。
筋電信号を利用したジェスチャー認識技術
さらに、筋電信号を用いた新しいジェスチャー認識技術では、微弱な電気信号を検出するチップ「AK05611」が前腕の筋肉の動きを捉えます。この技術をスマートウォッチに搭載することで、タッチ操作をせずにデバイスを直感的に操作できるようになります。特に、緊急時には、特定のジェスチャーで即座にアラートを送ることができ、ユーザーの安全をサポートします。
プライバシーに配慮した設計
この協業におけるAizipのAIモデルは、データをクラウドに送信することなく端末内で処理し、プライバシーを守ります。そのため、迅速な対応が求められる場面でもストレスなく使用できる設計となっています。
ローンチ予定と今後の展開
この革新的な技術は、2026年にラスベガスで開催される「CES® 2026」にて発表される予定です。デジタルヘルスやウェアラブルデバイスだけでなく、産業機器やスマートホーム分野へも幅広く展開する可能性を秘めています。
まとめ
旭化成エレクトロニクスとAizipの協業は、高齢者の健康を支えるセンシング技術の新たな可能性を切り拓きます。AIとセンシング技術の融合によって、これまでにない付加価値が生まれ、未来のヘルスケアを支える道が開かれるでしょう。これからの展開に注目です。