発酵文化を科学するラボがオープン
長岡技術科学大学が発酵デザイナー小倉ヒラクとのコラボレーションにより、「発酵を科学するラボ」を新たに開設しました。これは、日本の豊かな発酵文化を科学という視点から深く探求し、現代社会におけるその価値を再認識するための取り組みです。
ラボの目的とは
このラボでは、日本各地に根付く発酵文化の研究を行います。味噌や日本酒、さらには地域のユニークな発酵食品まで、その多様性を明らかにしていくことが目標です。そして、現代に必要な価値をサイエンスの力で導き出し、これはただの研究にとどまらず、日本の発酵食品が国際的に通用する魅力あるブランド「JAPAN HAKKO BRAND」を形成するための礎となります。
日本の発酵文化の現状
長い歴史を持つ日本の発酵文化ですが、現代では少子高齢化や地方の過疎化により、国内消費が減少傾向にあります。そんな中で、海外では日本の発酵文化、とりわけ麹を用いた食品が注目を浴びています。これに伴い、発酵文化の国内外での価値を最大限引き出す必要性が求められています。
ラボの三つの機能
「発酵を科学するラボ」では、以下の三つの機能を備えています:
1.
微生物の培養・分析機能: 最新の技術を用いて、発酵に関わる微生物を詳細に分析します。
2.
文化リサーチ機能: 発酵文化の人類学的研究や社会学的アプローチを通じて、文化的な背景を探ります。
3.
商品や技術への開発機能: 研究結果を新たな商品や技術に結びつける支援を行います。
ラボ設立の背景
ラボの構想は、微生物学の専門家である小笠原渉博士と、発酵文化のデザイナー小倉ヒラクとの出会いから生まれました。異なる分野での専門知識を融合させることで、日本伝統の発酵文化を未来へと繋げる可能性があると考えています。研究と市場の接続を強化し、発酵文化が持つ様々な価値を共に高めていくことを目指しています。
地域の文化を活かした研究
今後、全国の高等専門学校との連携を強化し、地域の特色を生かした発酵食品の研究を展開します。第一弾のプロジェクトは宮崎県でのたくあんについての研究で、地域の食品センターとの連携も視野に入れています。このように、地元の知恵を活かした共同研究を通じて、持続可能な発酵文化の発展に寄与します。
イベントと今後の展望
さらに、2025年11月には、ラボの運営状況について記者向けの発表と見学会を開催予定です。このような機会を通じて、発酵文化の重要性や未来について広く知っていただき、発酵文化の振興に繋げていくことが期待されています。
このラボの設立は、発酵文化が社会にどのように貢献できるかを見極める試みでもあります。国内外でその価値を伝え、共生する発酵文化の未来を築いていくために、私たちの活動は続きます。