母乳成分の個人差を解明した全国母乳調査の重要な結果とは?
雪印ビーンスターク株式会社が実施した「第3回全国母乳調査」の結果が、母乳の重要な栄養成分に対する新たな理解をもたらしました。この調査は、2015年から行われており、2023年にデータがまとまったものです。本調査では、1,071組の母子を対象に、母乳成分と母子の背景因子との関連を現在の科学に基づいて検証しました。
研究の背景
母乳は、赤ちゃんの成長にとって最も大切な栄養源です。母乳の栄養成分は、産後初期の初乳から移行乳を経て、時間の経過とともに大きな変動を見せます。最初の2週間は特に影響が大きく、その後は成分が次第に安定して成熟乳へと移行します。このように、母乳は単なる栄養の供給だけでなく、赤ちゃんの成長に多大な影響を与えます。しかし、どのような要因が母乳成分に影響するのかは、これまで十分に研究されていませんでした。
調査方法
調査は、産後1〜2か月の母乳を提供した1,071名の母親から行われました。母乳の分析には、赤外分光法を用いた最新の分析装置が使用され、母乳の主要な栄養成分(たんぱく質、炭水化物、脂質、エネルギー量)が評価されました。母親の食生活については、自己記入式の食事歴調査票を用い、母親および児に関する背景因子は、同様に自己報告式の質問票を使って収集されました。これらのデータをもとに、母親と児の様々な特性が母乳の栄養成分とどのように関連しているのかを分析しました。
調査結果
研究の結果、成熟母乳の主要栄養成分およびエネルギー含量は、完全母乳育児、母親の体格(過体重または肥満)、児の出生時体重、産後日数に影響されることがわかりました。このことから、母乳の成分には、母親自身の特徴や授乳環境、さらには児の体重や成長段階が反映されていることが示唆されます。これにより、母乳の成分は個人ごとに異なるが、その背景には明確な理由が存在することが確認されました。
結論と今後の展望
今回の調査結果は、国際的な母乳成分の比較研究において価値ある情報を提供すると考えられています。母乳成分の変動が赤ちゃんの成長に与える影響を解明するため、今後も長期にわたる追跡研究が必要です。雪印ビーンスタークは、母乳の成分に関するさらなる研究を続け、集めたデータに基づいて赤ちゃんの健康と成長に寄与し続けることを目指しています。
これらの成果により、今後の母乳に関する研究や赤ちゃんへの栄養提供に対する理解がさらに深まることを期待しています。また、母乳にまつわる情報を提供する「母乳ラボ」などの素材を通じて、母親たちがより良い育児を行う手助けができればと思います。