持続可能なカシミヤ産業の未来を支える新拠点の完成
ホリゾン株式会社の現地法人であるノースピーステキスタイルが、内モンゴルの烏拉特中旗に新たなカシミヤ山羊の地域牧場管理拠点を完成させました。この施設は、烏拉特中旗農・畜産業局の支援を受けて建設され、健全な環境で飼育されたカシミヤのトレーサビリティを確保することを目的としています。この取り組みは、牧場のすべての関係者が豊かな生活を享受できる持続可能なサプライチェーンを構築することを目指しています。
研究施設の役割
この新しい牧場管理施設には、研究所が併設されており、内モンゴル政府の支援を受けて各大学から専門家が集結しています。彼らはカシミヤ山羊の適切な飼育方法や生活環境についてのマニュアルを作成し、これを牧民たちと共有しています。このマニュアルは、自然環境や動物、そして労働者を守るための産業持続の基盤となるものです。実際に、このマニュアルを牧民たちと共有する会も開かれており、着実に地域全体への取り組みが進められています。
現在、1140の牧民家族がこのプロジェクトに参加しており、2030年までには地域全体で4000の牧民家族に拡大することを目指しています。これにより、持続可能なカシミヤ産業の実現に向けた道筋が明らかになってきています。
世界初のカシミヤヤギの冷凍精液応用研究
さらに、ホリゾン株式会社が進めている研究には、世界初のカシミヤヤギの冷凍精液を活用した研究も含まれています。内モンゴル農業大学や中国農業大学、吉林省農業大学など複数の大学が参加し、9つの生態牧場で様々な環境下で飼育され、データが収集されています。地域のカシミヤ品種である二狼山カシミヤヤギの改良も進められており、自然環境と産業が持続的に共生できるような研究が行われています。
経済活性化と地域貢献
この新たな牧場管理施設内には原料取引センターや整毛工場、原料庫も併設されています。これにより、牧場を訪れる人々は実際にトレーサビリティを体験しながら、原料の購入が可能です。これによって地域に雇用を生み出し、経済の活性化を図ります。自然が豊かな地域でありながら、都市部から離れているために他産業が乏しいのが現状です。このようなエリアで行われる整毛加工は、新たな雇用の創出に寄与し、地域の貧困の改善にもつながります。
課題と取り組み
一方で、牧民たちが直面しているのは気候変動や草原の砂漠化という問題です。これらは放牧に関わる生活の基盤を脅かすものです。ヤギを育てる牧民の生活は、経済の発展と共に変わりつつありますが、高齢化や後継者不足という深刻な問題も浮上しています。現代においても、ヤギを育てる方法は古くからのスタイルのまま保たれ、それぞれの牧民家庭に依存しています。このため、情報共有が不足している状況です。
更に、中間流通業者による不透明な取引ルートが存在し、これが値段の高騰や産出地が不明な偽カシミヤの出回りを招いています。このような問題は牧民だけでなく、産業に関わる全ての人々に影響を与えます。
このプロジェクトは、地域の牧民、共同組合、行政、大学研究者、企業が連携し、共に課題解決に取り組むものです。自然や人に配慮した環境を作るためには、飼育に関するデータの分析や共有が欠かせません。透明性のある生産背景の実現を通じて、持続可能な産業へとつながる道筋を描いています。
結論
ホリゾン株式会社は、2002年に設立以来、カシミヤ製品の企画・販売を行い、2006年には内モンゴルに一貫生産の工場を設立しました。これからも、高品質なカシミヤ製品を提供しつつ、持続可能な産業の実現に向けた取り組みを続けていきます。私たちの目指すのは、草原からのトレーサビリティのある生産によって、全てのステークホルダーが健全で豊かな生活を享受することです。