アンデスの響きを日本へ。多摩美術大学で開催される音楽シンポジウムの魅力
多摩美術大学が12月6日(土)に開催する第4回「記憶の道」シンポジウム「ひとびとの声・わたしたちの歌」は、特に注目のイベントです。ペルー南部アヤクーチョ出身のケチュア音楽歌手であるイルマ・オスノ氏をゲストに迎え、彼女の音楽による文化交流を存分に楽しむことができます。このシンポジウムは、アートとデザインの人類学研究所と「21世紀文化論」授業の共催で行われ、多様な視点からの議論が展開されます。
イルマ・オスノ氏の音楽と社会
イルマ・オスノ氏は、ペルーのアヤクーチョ州ウアルカス村で生まれ、幼少期をケチュア語を話す環境で育ちました。その独特な経歴から、地域の伝統文化を発信する重要な存在として知られています。彼女は政府とゲリラ組織の戦禍を避けて首都リマへ移り、そこで大学教育を受けたり、民族舞踊を学んだりしながら民族文化を発信し続けています。これまでに多数のアルバムをリリースし、彼女の歌声は土地の記憶を呼び覚まし、聴く人々の心を揺さぶります。
シンポジウムのテーマと目的
シンポジウムでは「声・歌・音楽」をテーマに、アンデス地方の音楽とその背後にある文化を探求します。近年、文明の機械化が進む中、人々の生活や表現の重要性が再認識されていることから、フォークソングやフォークダンス、そしてアートが人々のコミュニケーション手段としてどのように機能しているかが論じられます。音楽は国境を越え、言葉を超えた感情を伝える力を持っています。ここでの議論は、地域に深く根ざした音楽がどのように現代においても重要な役割を持つのかを考える良い機会となるでしょう。
登壇者たちの多様な視点
シンポジウムには、港千尋教授をはじめとする多様な専門家が登壇します。港教授は、過去と現在を結ぶ芸術の在り方を探求し、観衆に対して豊かな話題を提供します。他にも美術批評家の椹木野衣教授、デザイナーの佐藤直樹教授、さらには美術史家の金沢百枝教授、画家の陳芃宇講師が参加し、各分野の視点から議論を進めます。
参加方法と注意事項
シンポジウムは無料で参加でき、先着順で定員の30名を設けています。一般の方は事前申込みが必要で、定員に達し次第、募集は終了します。学内の学生や教職員は、事前申し込みなしで当日直接参加が可能です。会場は多摩美術大学八王子キャンパスのレクチャーBホールで、開場は13時から。音楽とアートが交差するこのイベントをぜひ見逃さないでください。
終わりに
音楽は風のように国境を越え、異なる文化をつなげる力があります。アンデスの風を感じるこのシンポジウムによって、参加者は音楽の持つ力、そして人々の声がいかに豊かな文化を形成してきたかを体感することができるでしょう。これからの社会において、アートや音楽がどのように位置づけられるのか、皆さんと一緒に考えていきたいですね。