里山の恵み「自然共生サイト米」の魅力とその背景

この度、佐賀県初の自然共生サイト認定を受けた「相知町横枕自然共生区域」から、待望の新米「自然共生サイト米」が初めて出荷されました。このプロジェクトは、耕作放棄が懸念される5.8ヘクタールの田んぼを住民の協力のもと再生し、2025年9月18日から販売が開始されるものです。里山の豊かな自然環境と伝統的な農法を活かしたこの新米、どのような特徴と魅力があるのでしょうか？

自然共生サイト米の誕生背景

「相知町横枕」は、田んぼ、水路、ため池、雑木林が一体となった日本の古き良き田園風景が残る場所です。しかし、近年は担い手不足や都市への移住によって、耕作放棄が進むという危機を迎えていました。そんな中、NPO法人「唐津Farm&Food」が中心となり、地域の住民や学校、団体と連携し、OECM（Other Effective area-based Conservation Measures）認定を受けたエリアの運営と田んぼの再生を進めてきました。

住民たちからは「久しぶりに田んぼの風景が戻ってきた」との嬉しい声が上がり、地域の観光名所としての価値も再生されています。自然共生の理念に基づき、地元の資源を活かした米作りが始まることで、地域経済の活性化にもつながっています。

田んぼの再生と米づくり

横枕の新米は、田んぼと水路、森が共存する昔ながらの田園景観を背景に育まれたものです。生き物の生息環境を維持するための工夫が随所に施されており、水管理にも地域の知恵が活かされています。また、過度な外部投入を避け、里山本来の水と土の力を引き出す農法によって、環境に優しい米の生産が実現しました。

新米の特長

自然共生サイト米の特徴としては、里山ならではの清らかな水と土が育んだやさしい甘み、澄んだ香りがあります。炊き上がりはふっくらとしており、冷めてもおいしいため、お弁当やおにぎりにも最適です。この新米は、「夢しずく」という品種が使用されており、5kg、10kg、30kgのサイズで販売されます。価格は税込で、5kgが約3,800円と、地元ならではの手頃な価格です。

販売・流通

自然共生サイト米は、2025年9月18日からオンラインやイベント販売を通じて販売が開始されます。取扱店舗や在庫については、公式ウェブサイトやSNSで随時情報が更新されるので、こまめにチェックすることをお勧めします。新米の販売に際しては、地域内外から訪れる観光客向けに、ボランティアツーリズムや収穫体験を通じて、里山の魅力を伝える機会も増えており、地域の活性化が期待されます。

未来への展望

今後は、フィールドモニタリングを通じて生物多様性の保全に取り組むほか、地域住民、学校、企業、行政と連携し、持続可能な教育プログラムや体験学習を拡充していく予定です。また、収量や品質データの可視化を進めることで、科学的なアプローチから地域固有の知見を共有し、2030年に向けたネイチャーポジティブな未来に繋げていく考えです。これからも「自然共生サイト米」の取り組みを通じて、里山文化の魅力とその重要性が伝わることを期待しています。