美容師の資格を持っても現場に立たない理由
近年、美容師の資格を持ちながら実際に美容師として働かない割合が増加していることが、株式会社リクルート(ホットペッパービューティーアカデミー)の調査によって明らかになりました。この現象の背景と、美容業界内でのスキルニーズについて詳しく見ていきましょう。
資格を持ちながら美容師にならない現実
調査によると、美容師資格を取得したにも関わらず、美容師として働かない人の割合は2021年の18.7%から2025年には21.4%に増加しています。この背景には、キャリアパスの多様化や勤務実態に対する不安が影響していると考えられます。
最近の美容専門学校への入学者は増加傾向にありますが、「資格を取得するものの、美容業界に残らない」との選択をする学生が増えているのです。これにより、美容業界における若手人材の確保がますます難しくなっています。
新人美容師が求めるスキルとは?
美容サロンで働く新人たちが入社後3年目までに「学んでおきたかった」と思うスキルに関する調査では、最も人気があったのは「技術」(49.3%)でしたが、続いて「接客スキル」(36.2%)や「経営に関する知識」(27.8%)も上位にランクインしています。また、「売上や数字に対する意識」(25.4%)も需要が高いことが分かりました。
これは、美容業界において技術力だけでなく、経営視点やビジネスセンスも重要視されている証拠です。現場でスキルを磨く中で、経営に関する知識を身につけたいとの声が多いのです。
離職率の低下とその背景
調査によれば、美容師の離職率はここ5年間で最も低い45.7%にまで減少しています。これには、サロンの福利厚生が充実したり、若手美容師が早期にデビューできる制度が整ったためだと考えられています。特に若手が「美容師を続けられる」と信じられる環境作りが、効果として出てきているのかもしれません。
美容師の復職率の増加
興味深いことに、現在働く美容師の44.3%が過去に離職した経験を持っています。この割合は年々増加しており、離職者が再び美容師として復職するケースが増えていることが示唆されます。現場への復職を支えるため、柔軟な勤務体系を整えるサロンも増えてきており、ライフスタイルの多様化を反映した形です。
働き方を重視した美の実現
さらに、調査で「働くにあたって重要なこと」として「休日日数」(44.5%)や「仕事とプライベートの両立」(42.0%)が挙げられています。これらの数値は年々増加しており、美容師が職場選びの基準として、給与や立地だけでなく、自分らしく働き続けられる環境も重視し始めていることがうかがえます。サロン側には、柔軟な働き方の導入がますます求められるでしょう。
まとめ
美容師としての資格を取得しても、美容業界に留まらない選択をする人が増加しています。サロンで求められるスキルや、働く環境への理解が必要です。これからの美容業界では、継続的なキャリア支援や環境づくりがカギとなるでしょう。美容専門学校プロジェクトを通じた支援活動も根付きつつあり、未来の美容師がよりよい環境で働けるような業界へと進化していくことを期待します。