震災から30年、今なぜ「災害トイレ」なのか
1995年に発生した阪神淡路大震災から30年。この節目の年、全国各地で発生する自然災害がいかに私たちの生活に深い影響を及ぼしているかを再認識する必要がある。特に、避難所でのトイレ不足や水が流せないという深刻な課題が浮き彫りになっている。
災害時には、電気や水道、下水といったライフラインが停止し、私たちの生活は一変する。そんな中でも、最も生活に直結するトイレ問題は、健康リスクや心理的負担を引き起こす要因となる。しかし、食料や水、懐中電池などと違い、「トイレ」は後回しにされがちだ。避難所の環境悪化により、多くの人が「行きたくても我慢」の状況に追い込まれる。
この背景には「なんとかなる」といった楽観的な思考が影響している。災害用トイレの備蓄が進んでいない理由として、どの商品を選ぶべきか分からない、必要量がイメージできない、さらには収納場所やコストへの不安といった具体的な課題が存在するのだ。
BCP(事業継続計画)への劇的な影響
神戸学院大学ポートアイランドキャンパスで開催された「もしもに備えるBOSAIキャンパス」では、災害用携帯トイレの展示・体験を通じて来場者の防災意識を高めることをテーマとしていた。このイベントに参加すること自体が防災意識を持つ人々を対象としているため、アンケート結果は特に注目に値する。
アンケート結果によれば、62.5%が「災害用トイレを備えている」と回答する一方、37.5%は「備えていない」と答えた。防災意識は高いものの、災害トイレの必要性を認識している人でも行動につなげられていない現実が見えた。
実際、来場者からは「どの商品を選べば良いか分からない」という声が多く寄せられ、災害トイレの重要性が理解できていても行動に移せないギャップが明らかになった。
モラスマイの使用感と満足度
ブースでは、災害用携帯トイレ「モラスマイ」の実物に触れる機会があり、93.8%の人が「使いやすい」と感じた。具体的な使い方を説明した際、多くの参加者から「簡単に使えそう」という感想が寄せられた。特に、高齢者や子どもでも使用できるイメージが持たれたことも好評だった。
イベントに参加した方の87.1%が「とても満足」と評価しており、満足度が非常に高かった。また、「楽しく学べた」という意見も多く、ただの知識習得だけでなく、実践的な重要性が評価された。
知識向上に寄与するイベント
防災知識が高まったと感じた方も多く、「家庭内での会話が増えた」「会社として備えるべきポイントを整理できた」といった感想もあった。無理なく学びながら互いの意識を高め合う場が形成されることで、次世代への防災教育にも貢献する可能性を秘めている。
地域防災力の向上には、行政や企業、大学の連携が不可欠だ。今回のイベントは、その良い例と言えるだろう。神防社は、「トイレ」という生活の根幹に関わるテーマを担い、地域と連携しながら防災意識の向上へとつなげていく方針を打ち出している。
神防社の役割
神防社は創業17年の防災を専門とする企業で、消防設備の設計施工や防災グッズの販売、消防訓練を行うなど、幅広いサービスを提供している。阪神大震災を経験したメンバーを含む社員が多く、自然災害に備えた商品の開発にも力を入れている。安心・安全な防災システムを通じて、地域社会に貢献する理念を持ち続け、今後もさらなる防災意識の促進に努めていく。