新たな風を感じるディオールの美学
高木由利子の新しい写真集『Dior by Yuriko Takagi』がリッゾーリ社より発表されました。この作品は、ファッションの聖地として知られるモンテーニュ通り30番地の美しい瞬間を捉えています。
高木は、「服も着る人も、動きによって、より美しくなる」と語り、目の前に広がる世界を独自の視点で表現。彼女のレンズを通して、ディオールのアートと歴史が再生し、まるで隠された記憶が呼び覚まされるようです。著名な文化人である小池一子は序文で「その場所の歴史を見守ってきた建物の内部は、彼女のカメラアイを通して突如として具現化する記憶として蘇ります」と述べています。
この写真集は、クリスチャン・ディオールと彼の後継者たちが手がけたオートクチュールを越えたアートの探求でもあります。高木は、ドレスの輪郭を軽やかに描き出し、ファッション史家サイヤールの言葉を引き合いに出しながら、各コレクションの本質を映し出す独特な手法を用いています。彼女の作品には、制作過程の中で生まれる「見えない痕跡」が見え隠れし、まるで過去と現在をつなぐ架け橋のような役割を果たしています。
高木の得意とする視覚表現は「生命の動き」を捉える力を持ち、彼女は光を巧みに操ります。「この瞬間に光の動きを数えることで、衣服に命を吹き込むのです」と高木は語り、そのプロセスはまるで一つの魔法のようだと感じさせます。また、彼女の作品には、モードの世界における夢や憧れが詰まっており、ディオールのクリエイティブディレクターたちとの間に、花を通じた深い繋がりが存在することを感じさせます。
本書は、舞台に立つディオールのルックが優雅なバレエの主人公へと変貌し、彼のDNAに刻まれた言葉へのオマージュとなります。「神秘的で予期せぬファッションは、未知の要素のおかげで、再び、驚異の最後の隠れ家のひとつとなります」というディオールの考えが、この写真集にも色濃く現れています。
新しい視覚的冒険を提供するこの魅力的な写真集は、2025年9月より書店で手に入る予定です。高木由利子の目を通じて、ディオールの美学を体験する絶好の機会にぜひご注目ください。