業界を守る新たな挑戦、日俳連の音声データベース「J-VOX-PRO」始動

日俳連が進める新たな音声データベース「J-VOX-PRO」

日本の声優や俳優など、声を生業とする実演家の音声を守るための新しい取り組みが始まりました。協同組合日本俳優連合（以下、日俳連）、伊藤忠商事、伊藤忠テクノソリューションズの3者は、声を安全に保管・活用するための公式音声データベース「J-VOX-PRO（仮称）」を立ち上げることを発表しました。

声隠れた権利を守るために

近年、AI技術の急速な進展により、無許可で生成された声コンテンツが増加し、実演家の権利が脅かされています。これにより、実演家の経済的権利だけでなく、信頼や創作活動にも悪影響を及ぼしています。このような事態を受けて、日俳連は2023年から無断生成AIを抑止する活動に乗り出しました。2024年には「NOMORE無断生成AI」に参加し、実演家の声を知的財産として保護し、適切な利用管理と報酬体系の整備が進められる予定です。

駆け出しの取り組み内容

日俳連の新たな取り組みでは、次のような内容が盛り込まれています。

1. 不正利用対策
音声の無断合成に対する通報体制を整備し、損害賠償などの対策を進めます。

2. 権利保護ガイドラインの策定
実演家の意向を反映させた契約書のひな形の整備を行います。

3. 政策提言と法整備
業界全体の協力のもと、透明なルール形成を推進します。

4. 教育・啓発活動
実演家やAI開発者に向けた権利の面での教育機会を提供し、倫理についての意識を高めます。

5. 音声の安全な保管と活用体制
実演家の意向に基づいた安全な音声の保管環境の構築を目指します。

「J-VOX-PRO」の重要性

新たに設立される「J-VOX-PRO」は、声優が自身の声を安全に保管し、利用管理を行うためのプラットフォームです。日本の文化を支える重要な音源として、安心して活用できる環境を目指しています。
さらに、ライセンス利用を前提としており、企業や団体が指定の料金を支払ったうえで音声データを利用できる仕組みを取り入れ、透明性を重視した運営を心がけています。

声の利活用と未来の展望

この音声データベースは、教育、医療、観光といったさまざまなサービス分野において応用の可能性があります。例えば、多言語を用いた音声ガイドや、高齢者向けの医療説明などが期待されています。また、声と音声認識技術の市場は急成長中で、2032年には約13兆円に達すると予測されています。他国への展開も視野にいれながら、日俳連は実演家の権利を守りつつ収益機会の拡大に努めています。

当データベースの設立は、音声の未来を切り開く大きな一歩となるでしょう。日俳連と伊藤忠グループ、CTCが連携し、安心かつ持続可能な音声ビジネスの構築を目指します。今後の展開が非常に楽しみです。