高校生たちがアイゴを通じて地域を守る
三重県で高等学校の生徒たちが中心となり、三重県の“未利用資源”とされる魚、アイゴを使った新しい料理の数々を開発する試食イベントが、2025年11月22日に鳥羽マルシェで開催されました。この取り組みは、海藻が減少する「磯焼け」という問題の解決を目指し、地域事業者との連携のもと行われています。
磯焼けの真実とアイゴ
三重県沿岸では、植食性魚類であるアイゴの増加が、海藻の減少を助長していると考えられています。アイゴは背びれに毒を持つため、漁業者にとって扱いが難しく、流通量は限られ「未利用資源」として扱われていました。しかし、地元の高校生たちはそのアイゴを料理し、美味しさを引き出すことを考えました。
探究学習の一環として
高校生たちは、このプロジェクトを通じて現地学習を行い、実際に漁師の方々からアイゴの処理方法や海藻減少の現状を学ぶことができました。「この魚をおいしく活かすことが、海を守ることにつながる」という実感を持った彼らは、地域の食材を利用した商品開発に全力で取り組みました。
試食イベントの様子
試食イベントは大成功を収めました。開始からわずか1時間で、用意された100食が完売する盛況ぶりでした。来場者に配布されたアイゴの料理は、志摩高校の「アイゴのてこね寿司」、鳥羽高校の「アイゴのフレーク甘辛煮おにぎり」と「アイゴのからあげ」の3品です。
イベントの冒頭には、地域関係者が参加し、高校生からのプレゼンテーションが行われました。来賓たちは試食を楽しみながら、高校生たちが熱心に取り組む姿に感心していました。「アイゴ特有の臭みが全くない。驚いた」「高校生の学びが商品開発につながる素晴らしい取り組み」といった評価が寄せられ、生徒たちの表情もどんどん明るくなっていきました。
生徒の想い
参加した生徒たちからは、「自分たちの作った商品が、実際にお客様に食べてもらえることが嬉しい」、「アイゴを知ってもらえたことが何より嬉しかった」といった声が寄せられました。地域の方々からの素晴らしいフィードバックは、彼らにとって貴重な学びの機会となりました。
来場者の感想
来場者からも「アイゴを生まれて初めて食べたが、クセを感じず驚いた」や「白身のお寿司は初めて。さっぱりとしていて、良かった」といった感想が聞かれました。また、アイゴの唐揚げについて「生臭さがなく甘辛い味付けで受け入れやすい」という声も多く、改めてアイゴのポテンシャルが示されました。
終わりに
このイベントは、高校生たちが地域の課題に自ら挑戦し、地域の資源をより良い形で活用する手助けとなりました。アイゴが単なる未利用資源ではなく、地域の宝として認識される日も遠くないかもしれません。今後の取り組みにも期待が高まります。