摂南大学が特定した新たな大麦の遺伝子
摂南大学の農学部に所属する研究グループが、大麦の穂や茎がオレンジ色に変色する「オレンジ穎」という特性の原因となる遺伝子を世界で初めて特定しました。この遺伝子は木質形成に関連しており、茎や穀粒の硬さを決定づける重要な役割を果たしています。この研究の成果は、家畜飼料の消化性の向上や、バイオ燃料の生産性を飛躍的に高める可能性を秘めています。
大麦とその特性
大麦は、飼料や醸造、食品として広く利用されている主要穀物の一つです。通常、大麦は生育中にオレンジ色に変化しますが、この現象は植物細胞壁を形成する成分「リグニン」と深い関連があると考えられていました。今回の研究により、オレンジ穎がリグニンの合成に関係するCAD遺伝子によって引き起こされていることが明らかになりました。
リグニンの重要性
リグニンは、植物細胞壁の主要成分であり、植物の強度を向上させる一方で、家畜にとって消化しにくい要因ともなります。そのため、リグニン量を減少させることができる新たな育種技術が求められていました。研究者たちはゲノム編集技術を用いてCAD遺伝子の働きを抑制し、その結果、リグニン量が減少することを確認しました。この発見は、より消化しやすい飼料の開発に貢献することが期待されています。
環境に優しい農業への寄与
この研究成果は、100年以上前から知られていた大麦の変異の仕組みを科学的に解明するだけでなく、環境に配慮した農業の実現やバイオマスの利用を促進する新たな育種素材としての可能性を秘めています。
研究チームは、この知見をもとに、より効率的にリグニンを減少させる大麦の品種改良を進め、持続可能な農業への道を切り開くことを目指しています。
研究の今後の展望
本研究の成果は、2024年に新設される摂南大学農学研究科の修士課程によってさらに発展することが期待されています。それにより、未来の農業における課題を科学で解決する新しいアプローチが提示されることでしょう。
論文情報
この研究に関する詳細は、Scientific Reportsに掲載されている論文「Cinnamyl alcohol dehydrogenase (CAD) underlies the orange lemma trait and lignin reduction in barley」に記載されています。著者はKazuhiro SatoやMaho Moritaらが務めています。専門家や農業関係者は、これらの成果に注目し、更なる応用を期待しています。