伝統の刃物職人が目指す!デジタル化による製造改革と品質維持
岐阜県関市に位置する三星刃物株式会社は、明治6年創業以来、150年以上にわたって包丁製造に取り組んできた企業です。この伝統ある会社が、最近ではデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、自社ブランド「和NAGOMI」シリーズの品質を維持しつつ生産量を大幅に増やすことに成功しました。この取り組みの背景と、どのようにして実現したのかについて詳しく見ていきましょう。
手作業の伝統を守りながら生産力を向上
三星刃物が製造している「和NAGOMI」シリーズは、質の高い仕上げが特徴であり、多くの職人が手作業で丁寧に製造しています。持ち手の段差のない美しさや、長く使えることを重視しており、接着剤や塗装を使わずに仕上げられることから、職人の目による確認が欠かせません。そのため、量産が難しい商品とされていました。
現在、国内外での需要が高まっている中で、この素晴らしい包丁をより多くのお客様に届けるためには、生産数を上げる必要がありました。しかし、品質を落とさずにどうやって量産するのか。これが三星刃物が抱える大きな課題でした。
DX推進の発端と初期の取り組み
その突破口となったのが、製造部の社員による自主的な発案でした。「和NAGOMI」シリーズの製造工程には、伝統的な手法が多いため、在庫や進捗の把握が不十分でした。そこで社員たちは、まずはExcelやスプレッドシートを使って全体の状況を「見える化」しようと試みました。その結果、製造途中の製品の状況を容易に把握できるようになり、業務の効率が少しずつ改善されていきました。
そして、この改善が手応えを感じさせたことから、さらに本格的なシステムの導入へと進展しました。
Smart Craftの導入と生産量の向上
選ばれたのは、株式会社Smart Craftのシステムです。このシステムの導入によって、月産本数が1500本から2100本に増加するという飛躍的な成果が得られました。この数値の向上は、各個人がどの工程にどれだけ時間を要しているのかを把握することで実現しました。
全員のデータを元に、得意な作業と苦手な作業を割り当てることが可能となったため、生産効率が向上しただけでなく、個々の成長も見える化されました。これにより、社員のモチベーションも向上し、チームとしての結束力が強まりました。
品質はそのままに、さらなる高みへ
また、DX施策によって管理者不在でも業務が止まらない仕組みが整い、出張先からでも現場の状況を把握できるようになったことは、業務の透明性を高めるだけでなく迅速な意思決定を可能にしました。
今後の目標は、さらに仕掛状況の確認をスムーズにし、棚卸の頻度を高めて原価計算をより厳密に行うことです。これにより、三星刃物はより良い製品をより多くの人に届けられるよう、一層の改善に取り組むとしています。
まとめ
伝統ある包丁製造において、品質を妥協せず、効率を向上させるための挑戦は簡単ではありませんが、三星刃物ではDXを通じて新たな未来を切り開いています。職人の手仕事と最新技術が融合した「和NAGOMI」シリーズの包丁は、これからも多くの人に愛され続けていくことでしょう。