肌の老化を引き起こす新たな因子「老化連鎖miRNA」とは

新しい時代のエイジングケアに向けて

最近の肌の老化研究において、株式会社コーセーが「老化連鎖miRNA」という新しい因子を発見しました。この研究は肌の老化がどのように広がるのかを探る重要なもので、特定のマイクロRNAが老化した細胞から放出され、他の細胞にも老化を引き起こすというメカニズムを示しています。これにより、エイジングケアのアプローチに新たな可能性が開かれることが期待されています。

老化連鎖のメカニズム

肌の老化は、シワやたるみなどの目に見える変化を引き起こしますが、その背後には、体内に蓄積された老化細胞が周囲の正常な細胞にも影響を与える「老化連鎖」が存在しています。老化が一方通行ではなく、連鎖的に広がることで、エイジングの進行が早まるという点が注目されています。コーセーの研究チームは、この老化連鎖を断ち切る手立てを探るため、まず細胞間の情報伝達に関与する細胞外小胞に着目しました。

miRNAの特定

細胞外小胞には、遺伝子の働きを直接制御する因子であるmiRNAが含まれており、老化細胞から放出されたmiRNAは周囲の細胞に影響を与えることが明らかになりました。コーセーの研究チームは、特に真皮の線維芽細胞に注目。老化細胞から流出したmiRNAの中に、周囲の細胞に老化を引き起こす役割を果たすものがあることを示しました。このmiRNAが「老化連鎖miRNA」として特定されました。

老化連鎖miRNAの影響

老化連鎖miRNAは、別の細胞に添加すると、細胞の成長を抑制したり、老化を示すタンパク質の増加を引き起こすことが確認されています。また、ヒトの皮膚にこのmiRNAを添加した際には、皮膚の弾力性を保つエラスチン線維が損なわれることもしっかりと記録されています。こうした現象は、加齢に伴う肌の変化と非常に似ています。