河合楽器の新たな挑戦:10年間の見通し
株式会社河合楽器製作所が発表した第8次中期経営計画『KAWAI 十年の計』は、2025年から2035年にかけての10年間を対象としています。この長期的な計画は、主力事業の楽器教育において大きな成長の余地を見込んだ結果とも言えます。成熟市場でのシェア拡大と、新興市場の開拓には時間が必要なため、3年間の経営計画では大きな成果を上げることが難しいことも背景にあるようです。
目指すべき財務数値
今回の計画では、以下の財務目標が設定されています。
- - 売上高:2028年3月期に900億円、2031年3月期に1,100億円、2035年3月期には1,300億円を目指しています。
- - 営業利益:2028年3月期は50億円、2031年3月期で80億円、そして10年後の2035年3月期には150億円を見込んでいます。
- - 営業利益率:初年度の5.6%から、6年後には7.3%、最終年度には11.5%を目指しています。
- - ROE:2028年は5.5%、2031年には10%、最終年には16%以上を目標としています。
これらの数値は、河合楽器が今後10年間でどれだけの成長を見込んでいるかを示しています。
鍵盤楽器市場での戦略
河合楽器は「世界一の鍵盤楽器メーカー」を目指すという高い志を持っています。新たな成長を実現するためには、鍵盤楽器事業を大きく成長させることが欠かせません。特に今後10年間では、デジタル化の進展に伴いリアルな製品や体験の需要が高まる中、鍵盤楽器や音楽教室の需要も堅調に推移すると予測されています。
また、鍵盤楽器のシェア向上に大きな可能性があるため、新興市場に頼ることなく、成熟市場でのシェア拡大を図ることで、全体的な成長を狙う意向も示されています。
成長戦略の詳細
1.
市場の見立て:鍵盤楽器は成熟市場で8割超のシェアを占めると予測されるため、そこに向けた製品の高付加価値化が最重要とされています。
2.
目指すべき水準:ROEの向上を目指しており、3年後には5.5%、10年後には16%を目標としています。
3.
キャピタルアロケーション:持続的な成長と株主還元のバランスを取り、資本効率を改善する方針です。
4.
株主還元の強化:配当の累進を行い、総還元性向を50%以上に維持するという目標も掲げています。
未来を見据えた取り組み
『KAWAI 十年の計』は、河合楽器が長期的な視点で持続可能な成長を目指す意欲を表しています。この計画が現実のものとなるか、今後の展開に注目です。
詳しい内容は、公式サイトで確認できます。
(
中期経営計画策定に関するお知らせ)