元飲食店経営者の新たなステージ
「お客様は神様ではありません」というユニークな貼り紙で一世を風靡した居酒屋、コンロ家。その元社長が全店舗を売却し、農業の世界へと足を踏み入れました。千葉県香取市で始まったその新しい挑戦は、一見地味である干し芋の製造。今回は、元・居酒屋経営者の頼富晋也さんにお話を伺いました。
居酒屋経営から農業への転身
頼富さんは、東京都内で7店舗の居酒屋を展開し、SNSで注目を集めていました。しかし、コロナ禍による飲食業界の厳しい環境や人材難を目の当たりにし、彼は経営の“出口”を考えるようになりました。2020年6月、全7店舗を第三者に譲渡し、飲食業界から一旦足を引く決断を下します。
その後、頼富さんは日本各地を巡り、農業法人で実際に働くことで、さまざまな農業や食品加工の現場を経験。彼は「食の最前線で商売をしてきたからこそ、今度は“作る側”として貢献したい」と考え、千葉県でのさつまいもの栽培に着目しました。
さつまいも・干し芋への情熱
頼富さんの新プロジェクトは、さつまいも栽培と干し芋加工の完全内製モデル【✡イモミナティ】です。彼は、そのために1800坪の農地を取得し、品種選定から収穫までのすべての工程に自ら関わっています。彼の目標は、品質管理はもちろん、無農薬による農業の実現です。
「日本の食料自給率を高めたい」「災害に強い農業を育てたい」といった思いから、さつまいもを選んだそう。さらに、流行中の無添加・健康志向の需要にも応える商品作りにも取り組んでいます。
糖度の高い干し芋の秘密
✡イモミナティが生産する干し芋は、主に紅はるかという品種を使用。収穫後に低温で約3ヶ月熟成させることで、糖度を最大限に引き出しています。公表されている通り、彼は飲食業で培った感覚を活かし、一口目から後味までの評価基準を厳密に設けています。結果、無添加でありながらも、嗜好品として成立する干し芋が完成しました。
社会的価値創出への取り組み
ただの食品製造にとどまらないのが、頼富さんのプロジェクトです。地元農家との協力や雇用創出にも寄与しつつ、高齢農家が管理しきれない遊休農地を活用しています。彼は「農業は守る産業ではなく、稼げる産業であるべきだ」と力を込めます。その言葉通り、持続可能な収益モデルの構築を目指して、農業の再生にも取り組む姿勢が見えます。
今後の展望
2025年にはEC販売を開始し、今後は百貨店や量販店での卸販売も予定しています。さらには、干し芋を素材にした新たな商品開発やアジア市場への展開も考えているとのこと。彼の目指す未来は、単なる食品の提供にとどまらず、日本の農業の可能性を広げることにあります。
「飲食業から農業へ。新たな挑戦を通じて日本の食文化に貢献したい」と語る頼富さんの経営哲学は、挑戦を恐れない姿勢を感じさせます。これから先も、彼の活動を見逃せません。