近年、ネイルサロン業界は大きな波にさらされています。2024年の倒産件数が22件に達し、これは過去最多の記録です。実は、前年の14件と比べて約6割も増加しており、その背景には、コロナ禍よりも過酷な市場競争が横たわっています。特に、スタッフ不足が深刻な問題として浮上しています。
ネイルサロンの市場自体は順調に拡大しており、2024年の市場規模は推計で1390億円に達する見込みです。この市場の拡大は、女性を中心とした顧客の利用回数や金額の増加に加え、韓流アイドルの影響を受けて気軽にネイルを楽しむライト層や、男性利用者の増加が大きな要因とされています。需要は確実にあるものの、その裏には熾烈な競争があります。
ネイルサロンは、開業の際に特別な資格や設備を必要としないことから、低資金での開業が可能です。このため、大手から中小企業、さらには個人で独立したネイリストが参入しやすくなっていて、結果的に多くの店舗がひしめく状況に陥っています。それにより、競争が激化し、長時間にわたる施術に必要な高い集中力や体力が求められるため、スタッフの定着が難しくなっています。
多くのサロンがコロナ禍の厳しい状況を乗り越えるためにゼロゼロ融資を受けていますが、新たな資金の調達も必要です。集客があっても、施術数を増やせずに経営が成り立たないサロンや、激しい競争に直面している小規模店舗が事業を断念するケースが増えています。
一方、最近では安価で手軽なセルフネイルキットの普及や、設備が充実したセルフネイルサロンの開店も進んでいます。これにより、ニーズの多様化が進んでいます。ネイルサロンの経営者にとっては、独自のサービスや高い技術力を武器に「フルサービス型」の優位性をどこまで打ち出せるかが、今後の生き残りを左右する重要なポイントとなるでしょう。ネイルサロン業界の未来は、多くの課題が待ち受けていますが、クリエイティブな解決策が求められる時代に突入しています。皆さんも自分のネイルスタイルをこの機会に見直してみてはいかがでしょうか。新しいトレンドや技術に触れることで、自分だけの魅力を引き出す鍵が見えてくるかもしれません。