地域に根ざし誠実に挑む「クラ工業」の印刷技術の魅力

有限会社クラ工業は、地域の未来を支えるために誠実な経営と独自の技術を駆使して、印刷業界で確固たる地位を築いてきました。代表の矢内克浩氏は、数々の試練を乗り越え、独自の印刷技術を発展させながら地域社会に貢献する姿勢で知られています。

職人の技が生み出す多彩な印刷

クラ工業の印刷技術は、一般的な紙への印刷にとどまらず、多様な素材へと対応しています。ガラス、木材、鉄製品、そしてシリコンゴムへの印刷まで手がけており、その中には難粘着性という特性を持つシリコンゴム印刷も含まれています。シリコン印刷は、高温焼付けが求められるため、工程は非常に複雑であり、専用の道具の管理も重要です。

「1年のうち7割は、インクで手が染まるんですよ（笑）」と矢内氏は笑いながら語ります。印刷に必要なインクは特殊なもので、仕入れ先も限られているため、技術の確立には長年の経験が必要です。クラ工業は、スクリーン印刷、パッド印刷、UVインクジェット印刷といった3つの異なる印刷方法を使いこなし、クライアントの要望に応じた製品を提供しています。

困難を乗り越えた起業精神

クラ工業の創業の背景には、矢内氏の父が経営していた印刷会社の倒産や、勤め先の倒産という辛い経験があります。このような逆境が彼に起業の道を示し、「印刷技術の力を活かして人々の役に立ちたい」という使命感を持って2004年に起業を決意しました。クラ工業の名前の由来は、彼の祖母から取ったもので、社名が持つ意味も彼の原動力となっています。最初は携帯電話のボタン部分の検品から始まり、仲間と共に事業を拡大していく中で、技術を磨き続けました。

繋がりと信頼の重要性

矢内氏は、経営の厳しい時期に他社との信頼関係を築くことが重要だと考えていました。特に、交通安全用品を扱う商社との出会いが大きな転機となりました。この商社との信頼関係を築くために、制作した製品の品質や対応力を徹底し、印刷の仕事が徐々に認められるようになりました。現在では、20年近く続く重要な取引先としての地位を確立しています。その信頼関係は、個々の顧客のニーズに丁寧に応える姿勢が生んだものです。

足立ブランドへの貢献

最近では「足立ブランド」にも参加し、地域の認知度向上に貢献しています。クラ工業は、地域関係のプロジェクトに積極的に参加し、自社の印刷技術を活かした製品を提供しています。特に「舎人公園千本桜まつり」では、再帰反射印刷技術を使用した夜道でも安心の「お散歩バッグ」を披露します。このバッグは、犬の散歩用として設計されており、高齢者や子供たちの安全も考慮されています。

また、クラ工業は「足立区生物園」と連携し、さまざまなオリジナルグッズを展開しています。夜光性を持つバッグや文房具は特に人気で、「足立ブランド」のシールも添えられ、地域の良さを伝えることに貢献しているのです。

経営と未来へのビジョン

矢内氏は、誠実な仕事を続けながら地域に根ざした経営を目指し、新しい挑戦を続けています。今後は、スタッフに新規事業を委任しながら、オリジナルグッズ開発にも力を入れ、事業のさらなる発展を目指しています。彼は「やる気さえあれば道は開ける」と信じており、その思いを次世代に伝える責任があると感じています。地域を支える姿勢と確かな技術に支えられたクラ工業の挑戦は、これからも続いていくことでしょう。

「舎人公園千本桜まつり」での足立ブランドブース出展を通じ、多くの人々にクラ工業の魅力が伝わることを期待しています。