食器の魅力を一次元から学ぶ新刊『世界の食器図鑑』が登場

食器の新たな一冊『世界の食器図鑑』が発売

2025年9月24日（水）、滋賀県近江八幡市に本社を持つ株式会社アリベが監修した『世界の食器図鑑歴史・技法・名品』が平凡社より刊行され、全国の書店で販売が始まりました。この本は、陶磁器の専門家である加納亜美子が監修を務め、彼女の実姉である玄馬絵美子が共著者として参加。和食器と洋食器の魅力を同時に紹介し、その違いを比較しながら理解できる内容になっています。

食器の知識を総覧する

本書の最大の特色は、従来の食器関連書籍では分けて紹介されていた洋食器や和食器が、ひとつの本で横断的に理解できるところです。読者は、洋食器で使われる「トランスファー（ウエア）」や、和食器の骨董品で使われる「印判手」など、同じ技法を指す言葉の関連を理解する手助けを得られます。これは食器に興味を持ち始めたばかりの人にとって、確かな知識と視野を広げる貴重な資料となるでしょう。

鑑賞ポイントを徹底分析

本書は、読者に対して「食器をどのように鑑賞したらよいのか」を分かりやすく解説しています。多くの食器愛好者が抱える悩みである「この食器の何が魅力なのか？」という疑問に対し、各ブランドの特徴や強みを簡潔に説明。これにより、初めて食器を選ぶ際や美術館での鑑賞時にも自信を持って活用できる情報が得られるのです。

デザインとモチーフの深い関係

加納亜美子監修のもと、本書では食器のデザインに使われるパターンや文様についても深く掘り下げています。古代オリエントから影響を受け、時を経て各地に伝わった意匠の面白さを、写真を交えながら解説。たとえば、「青海波」という文様も、古代オリエントの鱗文様がルーツであるという視点から、食器のデザインには歴史が息づいていることを実感できます。

幅広い知識を網羅

本書では、陶磁器の原料や製造方法についても詳しく説明しています。食器を楽しむための基本的な知識から、料理との組み合わせ方、お手入れ方法まで、多岐にわたる情報を整理。さらには、業界の現状や流行についてのコラムも収録されており、絶えず進化する食器の世界に触れることができる一冊となっています。

監修者、著者たちの想い

監修を務める加納亜美子は、陶磁器業界を盛り上げたいという思いから本書の制作に着手しました。近年低迷するこの業界を新しい視点から見つめ直し、ビジュアルや解説にこだわることで、より多くの人々に食器の魅力を伝えようと考えています。その背景には、従来の情報が時代遅れになりがちな現状があると語ります。

『世界の食器図鑑』は、食器が好きな人、もっと知りたい人に新しい魅力を提供し、陶磁器業界をより活性化させるための一助となることでしょう。